「観光二重価格」が早速注目され始めたのは良いが、外国人差別はダメ
以下、TBS News DIGからの転載。
先日、オーバーツーリズム対策として、そろそろ日本も「地元割」による二重価格を導入検討すべきだとする以下の様な提言記事を書きました。
その途端、同種の施策に注目が集まり始め、社会的論議が広まって来た事に対しては喜ばしいのひとことである訳ですが、一方で私が先の記事内でも「註釈」として言及した問題点が既に見え始めています。先の記事内で、私はこのように書きました。
観光地における二重価格は、あくまで「地元民と観光客」の区分けであって「日本人と外国人」の区分けであってはなりません。
前者の地元民を観光客と区分けして優遇する前者の施策、すなわち「地元割」は、商業者として来訪機会の高い地元民に対して選択的優遇をするという商業上の合理的な施策であり、あくまで「区別」です。その施策において線引きとなるのは、あくまで「地元民であるかどうか」であり、そこに国籍や人種は勘案されません。
一方、日本人と外国人を区分けして優遇する後者の施策は、国籍や人種など生まれながらにして持つ変更不可能な「人の性質」に対し、異なる処遇を付す「差別」にあたる施策です。世の中には「日本国籍は持つものの日本に住んでおらず、日本語も喋れない在外邦人」も存在します。一方で「生まれも育ちも日本であり、言語も日本語しか喋れない外国人」も存在します。その様な多様な「人間のあり様」がある中で、その人物が日本人であるかどうかを線引きとして異なる処遇を付すことは、繰り返しになりますが社会的に「差別」であると認知されて致し方ないものだと思います。
私自身は前者の「地元割」という施策の社会的採用をオーバーツーリズム対策の一環として推進している人間として、「外国人差別」となる後者の二重価格には明確に反対のスタンス。寧ろ、このような差別的な処遇を支持する人間が増える事は、オーバーツーリズム対策になり得る「地元割」という施策の社会的評価を「見誤らせてしまう」危険性すらある。私としては明確に、それとこれとは別モノであるとここに断言しておきたいと思います。