グランドチャンピオンに5回も輝いた宮崎牛は? 和牛に加えて鮑と鰻まで味わえる鉄板焼
人気の宮崎牛
黒毛和牛には様々なブランドがあります。
・銘柄牛(めいがらぎゅう)についておしえてください。/農林水産省
農林水産省によると、銘柄となっている和牛は全国で320種類以上。これだけあれば、黒毛和牛を含めた和牛(他には褐毛和牛、日本短角牛、無角和牛)に詳しい方であっても、知らないブランドはあるでしょう。
輝かしい実績を誇る宮崎牛
たくさんの銘柄牛がありますが、肉質の素晴らしさで注目されているのが宮崎牛です。
宮崎牛は、宮崎県内で生まれ育った最長飼養地が県内の黒毛和牛で、肉質等級が4もしくは5である県内種雄牛、もしくは、家畜改良のために指定された種雄牛を一代祖にもつ牛が該当します。
和牛(黒毛和牛)のオリンピックと称され、5年に1度開催されているのが、全国和牛能力共進会。第9回から第12回の4大会連続で最高位となる内閣総理大臣賞を受賞したのが、宮崎牛です。
宮崎牛を堪能できるフェア
宮崎牛は、これだけの実績を誇っており、全国的にも広く知られて人気もあるので、なかなか食べることができません。しかし今であれば、宮崎牛はもちろんのこと、宮崎県の食材をふんだんに堪能できる機会があります。
それは、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「鉄板焼 匠」で2023年6月1日から8月31日にかけて行われている「壱岐ファームより直送 宮崎牛ランチ&ディナー」です。
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「鉄板焼 匠」とは
「鉄板焼 匠」はコンセプトがしっかりとした鉄板焼店です。ヘルシー(健康)、ビューティ(美しさ)、フレッシュ(新鮮)をもとに、オリーブオイルで調理するという特徴があります。
外資系ホテルで豊富な経験を積んできた馬原雄一氏が2018年9月から料理長を務めており、見応えのあるパフォーマンスやプレゼンテーションでゲストを魅了しています。
「壱岐ファームより直送 宮崎牛ディナー」のメニュー
「壱岐ファームより直送 宮崎牛ディナー」の内容は次の通り。
・ファーストディッシュ
匠 ファーストディッシュ 焼きトマトのフランベ
・前菜
フレッシュサラダに日向夏香る宮崎県産鰻の蒲焼きを添えて
・焼き野菜
本日の焼き野菜
・海鮮
活鮑のグリル 赤ワインクリームソース 宮崎県産へべすと黄金の柚子胡椒添え
・肉料理
壱岐ファームより 宮崎牛ロース80g
・ご飯
宮崎牛の肉巻きおにぎり 匠スタイルで
・汁物
味噌汁と香の物
・デザート
アトリエデセールよりパティシエ特製デザート
・コーヒー または 紅茶
シグネチャーとなっている「焼きトマト」にはじまり、鰻や鮑を味わった後に、「壱岐ファーム」から直送された宮崎牛を堪能できるという贅沢なラインナップ。最後のお食事は、鉄板焼で定番のガーリックライスではなく、肉巻きおにぎりというのも独創的です。
では、それぞれのメニューを詳しく紹介していきましょう。
匠 ファーストディッシュ 焼きトマトのフランベ
同店のオープン以来、シグネチャーとなっている一品。栃木県の甘味の強い桃太郎トマトを目の前で華麗にフランベし、香り高く仕上げています。キプロスのレモン塩、青森県のニンニク、千葉県のルッコラを添え、仕上げにイタリアの亜麻仁オイル。トマトの甘味とジューシーさを十二分に堪能できます。
フレッシュサラダに日向夏香る宮崎県産鰻の蒲焼きを添えて
馬原氏の父が宮崎県出身ということで、馬原氏は小さい頃から宮崎県の鰻を食べていました。宮崎県の鰻のおいしさを知っているだけに、是非ともゲストにも味わってもらいたいと考え、半年前から仕入れの調整をしていたといいます。
鉄板の上で半身の鰻をバーナーでしっかりと炙り、フレッシュなサラダにのせました。レタスやパプリカの軽やかさに、力強い鰻の味わいがよいコントラストで、日向夏の鮮烈な香りも印象的です。
活鮑のグリル 赤ワインクリームソース 宮崎県産へべすと黄金の柚子胡椒添え
蝦夷鮑は110グラム程度で大満足のボリューム。肝も全てを丁寧に焼き上げます。肝は繊細な火入れで白子のようになめらかなテクスチャに仕上げました。赤ワイン、醤油、クリームのソースと、洋風ながらも和も感じられ、どんなお酒にもぴったりの味付けです。
本日の焼き野菜
壱岐ファームより 宮崎牛ロース80g
野菜は季節によって旬のものが使われています。取材時には、味わいの濃い黒豆もやし、徳島県の小さな椎茸「ちいたけ」、甘い三浦産の紅芯大根、ホクホクとした長崎県の新じゃがいも、胡麻油でソテーした江戸川の小松菜と、バラエティ豊かでした。
宮崎牛のロースは、この後に肉巻きおにぎりがあるので、ボリュームはやや少なめに。肉質等級は4から5、BMS(牛脂肪交雑基準)は7から8程度と脂がのっていますが、融点が低いので、さらりとした口当たり。肉汁たっぷりの妙妙たる味わいで、和牛香も広がって食欲がそそられます。
馬原氏いわく「最高の状態で食べていただきたい」ということから、手間はかかりますが、2回にわけて焼いてくれました。コンディメントも充実していて、食べ比べることができます。オリジナルのつけジュレは3種類あり、タマネギのジュレ、1週間かけてつくった自家製ポン酢のジュレ、胡麻と黒胡椒のジュレ。他にもプレーン、抹茶、ショウガという3種類の塩に、島根県の本ワサビ、金沢県の醤油が添えられています。
宮崎牛の肉巻きおにぎり 匠スタイルで
味噌汁と香の物
2021年のフェア開催時に好評だったので、今回も登場することになりました。棒状にしたご飯を肉で巻いてこんがりと焼くという、全く新しいスタイルの“〆のお食事”です。宮崎牛のジューシーな佳味をご飯が存分に吸収しています。
アトリエデセールよりパティシエ特製デザート
最後のデザートは、ラグジュアリーな場所へ移動し、ゆっくり過ごせます。3種類のデザートの中から選べ、最もおすすめなのが「フルーツの盛り合わせと宮崎県産 日向夏のシャーベット」です。酸味の利いた日向夏のシャーベットが口の中をさっぱりとさせてくれます。
バラエティに富んだワイン
乾杯酒であるシャンパーニュも付いているのがお得です。「アンリオ ブリュット スーヴェラン」はオランダ王室、オーストリア・ハンガリー帝国皇室御用達として認められたことに由来して「スーヴェラン」=「至高」と命名されています。ピノ・ノワールとシャルドネのバランスがよく、エレガントなアロマとしっかりとしたミネラル感があります。最初の一杯にぴったりな爽やかさがあり、ファーストディッシュのトマトのみずみずしさに寄り添う味わいです。
他のワインも紹介しましょう。「塩尻メルロ ロゼ 2021」は引き締まった酸味とふくらみのある果実感が印象的な、メルロ100%のロゼワイン。イチゴのような甘いニュアンスもあります。鰻の脂をさらりとさせるような、ちょうどいいマリアージュです。「ニュートン アンフィルタード カベルネ・ソーヴィニヨン 2018」はアメリカのナパ・ヴァレーの赤ワイン。骨格がありながらも洗練されており、複雑な味わいやスパイシーな香りも広がります。壱岐ファームの宮崎牛にも負けず、和牛香にもぴったりです。
宮崎県フェア開催の背景
宮崎県の食材や文化が堪能できるコースでしたが、どのようにして企画されたのでしょうか。馬原氏は振り返ります。
「シェフに就任した時、お客様に他にはない体験をご提供したいと思いました。ちょうど友人の奥さまの実家が、宮崎県畜産共進会で5回もグランドチャンピオンに輝いた壱岐ファームを経営していたので、そこから仕入れることはできないかと相談しました。すると、牧場長(馬原氏の友人の奥さまのお父さま)から、世界や日本中から人々が集まる東京で、宮崎牛を知ってもらいたいといっていただき、2017年から毎年期間限定でご提供させていただいています」
壱岐ファームからは、馬原氏になら、いくらでも牛を提供するというほど信頼されています。馬原氏の想いがゲストにも伝わったのか、壱岐ファームの宮崎牛は、毎年一番リピーターが多いフェアになっているということです。
壱岐ファームの宮崎牛
壱岐ファームの宮崎牛は他とどのように違うのでしょうか。
「現地に訪れて見学させていただきましたが、他とは違う種牛をつかっているので、まず血統が異なります。次に、自社で繁殖して飼育し、出荷する一貫生産を行っているので、品質も安定していますね」
和牛農家は、生まれた子牛を8ヶ月から9ヶ月まで育てる繁殖農家と、その子牛を買って月齢30ヶ月程度まで育てる肥育農家に分かれています。どちらとも兼ねている繁殖肥育一貫農家であれば、牛は同じ場所で生まれて育つので、受けるストレスも少ないです。
「最後の特長は、独自の餌をつかっていることです。国産の藁を用いた独自の配合になっているので、ロースだけではなくモモや腕などにもサシがバランスよく入っています。脂はジューシーでありながらもさらっとした口当たりなので、是非とも味わってみていただきたいですね」
ゲストからの強い要望
馬原氏は今フェアの楽しみ方について話します。
「まずは、壱岐ファームの宮崎牛を存分に堪能していただきたいですね。加えて、鰻やへべすなど、牛の育った宮崎県の食材を取り入れていますので、宮崎を感じていただきたいです。以前大変好評だった肉巻きおにぎりも、新しい体験になると思います」
ゲストからは、壱岐ファームの宮崎牛をレギュラーメニューにしてほしいという要望が多いので、来年も3ヶ月ほどの長いフェアを計画しているということです。熟練の馬原氏がこれだけ力を入れている、壱岐ファームの宮崎牛。開催期間も長いので、是非とも賞味する機会を見つけてください。