これで4万円なら安い! 和牛のロースとフィレ、伊勢海老と鮑、松茸まで味わえる隠れ家の石焼会席
石焼とは
鉄板焼は、黒毛和牛を目の前で焼いてもらえ、できたてを食べられる料理です。その名の通り、鉄板で焼かれるので鉄板焼ですが、同じく目の前で黒毛和牛が焼かれるのでも、石で焼く石焼となると少し事情が異なります。
石焼とは、小石や石版、石製の鍋などを用いて食材を焼くこと。石にも色々とあり、小石ではサツマイモや栗、石版では肉や野菜、石製の鍋ではビビンバが焼かれます。
特長としては、石で焼くと遠赤外線効果で、肉の中からも加熱するので縮まずにふっくらとした仕上がりになること。さらには溶岩石であれば、気泡があるので脂を吸い込んでもらえるという効果もあります。溶岩石を用いている場合には、溶岩焼と呼ばれることも。
石焼はジュージューと焼ける音もダイナミックで臨場感もたっぷりです。鉄板焼よりもさらに非日常的な食事となるのではないでしょうか。
石焼会席
この溶岩石で魚介類と黒毛和牛を調理し、しかも、会席仕立てにした贅沢なコースがあります。それはホテル椿山荘東京の石焼料理「木春堂」で提供されている「至福の石焼会席 ~匠~」(35,300円、税込・サ別)です。季節によって内容が変わり、2022年の秋メニューは9月20日から11月10日まで提供。
ホテル椿山荘東京は都心とは思えないほど広大な日本庭園を擁しています。その庭園の木立の奥にひっそりと佇むのが昭和モダンな建物の「木春堂」です。離れの個室では、専任のスタッフが付き、焼いてくれるなど、さらに贅沢。
調理長を務めるのは清水理氏です。和食レストランで経験を積み、1999年に藤田観光株式会社へ入社し、2017年からホテル椿山荘東京に配属。「木春堂」、料亭「錦水」、日本料理「みゆき」で腕をふるい、2021年から「木春堂」調理長に就任しました。
清水氏が贈る非常に豪華な石焼会席を詳しく紹介していきましょう。
突き出し
最初に提供されたのは、関西の土瓶で注がれたシジミ汁。名産地である島根県の宍道湖のシジミで滋味がたっぷり。長時間炊いているので凝縮されており、磯の香りがたまりません。
先付
胡麻豆腐 黒胡麻ダレ掛け 無花果 クコの実 山葵
風味が豊かな胡麻豆腐の底には黒胡麻餡があります。上には炙ったイチジク、クコの実、ワサビで味わいに変化を。
前菜 ~錦秋盛り~
海老菊花寿司 零余子真丈 子持ち鮎甘露煮 松茸里芋雲丹焼き 菊菜と茸お浸し 紅葉麩 銀杏 公孫樹薩摩芋 渋皮栗 稲穂
秋の装いになった八寸です。お浸しは菊菜の独特な苦味と香りが印象的。旬のムカゴは真丈にして食感も楽しめるように。銀杏と紅葉麩は楊枝に刺してあり、日本酒のアテにもぴったりです。イチョウの形をしたものはサツマイモ。
造り
本鮪 鮮魚二種 妻一式
大分県のカワハギの薄造りと肝、濃厚でクリーミーなムラサキウニ、厚みがあって脂がのった長崎県の本マグロ。自家製白ポン酢のジュレがカワハギの旨味を際立たせます。
温物
米茄子鴫炊き 鱶鰭姿煮 九条葱 糸賀喜 糸唐辛子
油で揚げた米ナスはとろっとして素晴らしい食味。その上にはフカヒレの姿煮がどんと載せられています。細切りした九条ネギ、マグロの糸賀喜、糸唐辛子と様々なアクセントも。
勧め肴
松茸焼き 染卸し 酢橘
旬のマツタケをほっこりと石焼にしました。スダチ、大根おろしが添えられているので、軽くスダチを搾るとマツタケの風味がより際立ちます。
国産活け伊勢海老
国産鮑
天然鯛
イセエビは千葉県産で、1人1尾200グラムのボリューム。甘味があって、繊細なテクスチャです。アワビは山口県産で、1人1つ150グラムの分量。アワビは石焼で最も火入れが難しいということですが、適度にやわらかく仕上げ、見事な熱の入れ方でした。マダイは三重県の天然もの。身をふっくらしっとりと焼き上げています。
松阪牛ロース 40g
佐賀牛シャトーブリアン 40g
野菜三種
松阪牛ロース、佐賀牛シャトーブリアン(フィレの最上部位)という順番で提供。ロースとフィレは、どちらともブランド黒毛和牛の場合にはロースから、それ以外の場合にはフィレから焼かれます。ロースは適度に脂が抜けていて、赤身とのバランスがよいです。佐賀牛シャトーブリアンは心地よい弾力で、赤身の佳味が堪能できます。
白神アワビ茸は香り高く、アスパラガスはほのかな甘味。サツマイモはほっこりとしていて、「木春堂」の刻印が目を引きます。
コンディメントは大根おろしと白ポン酢のジュレ、ワサビ、藻塩、焼きネギ、肝醤油。どれも味わいが異なるので、好みで味変を楽しんでください。
食事
秋鮭御飯いくら添え 香の物 伊勢海老赤出汁 または 椿うどん 伊勢海老赤出汁
冷たい麺類と温かい御飯のどちらかをチョイスできます。「秋鮭御飯いくら添え」では、秋鮭が丁寧に焼かれ、国産米の上にのせてもらえます。秋鮭は脂がのっているので、ほぐして米と一緒に食べるとちょうどいい塩梅。イクラ、イセエビの殻を入れた赤出汁、香の物が添えられています。
甘味
盛り合わせ
石川県の五郎島金時のプリン、巨峰のソルベ、カキ、洋梨、シャインマスカット、ジュレと、デザートも充実。ホワイトチョコレートのウサギが可愛らしいです。
石焼に寄り添うお酒
豪華な料理に合わせてお酒も充実しています。
シャンパーニュは「ニコラフィアット レゼルヴ・エクスクルーシヴ ブリュット」(グラス 2,200円)。ハチミツ、ワイルドストロベリー、ホワイトチョコレートの美しい香りがあわさった複雑な香りがあり、バランスがよいです。日本料理の先付けや前菜にもぴったりなワインといえるでしょう。
「春鹿」は春日大社と神の使いである鹿から由来の奈良県らしいネーミングの日本酒です。「春鹿 純米超辛口」(180ml 2,000円、720ml 8,000円)は穏やかな香りとまろやかな口当たりながらも、凛としたキレ味があります。魚料理はもちろん、肉料理にも合うお酒です。
「シャトー サン・ミッシェル コロンビア・ヴァレー シラー 2017」(ボトル 11,000円)はアメリカ/ワシントン州/コロンビア・ヴァレーの赤ワイン。シラー98%、ヴィオニエ2%で、しっかりとした味わいなので、脂がおいしい和牛にマリアージュします。
石焼の価値
和牛は、国内ではもちろんのこと、外国人から特に人気となっていますが、堪能するには鉄板焼が用いられます。鉄板焼も素晴らしいですが、石焼では遠赤外線によって、その佳味はさらに閉じ込められるといってよいでしょう。
ホテル椿山荘東京のようなラグジュアリーホテルが、石焼料理店を擁していることはなかなかありません。「木春堂」の豊かな空間で、和牛の石焼を味わえることは、まさに僥倖と表現してもよいです。
2021年3月から提供が開始されたばかりの「至福の石焼会席 ~匠~」。ブランドの黒毛和牛から伊勢海老、鮑、松茸までもが用いられていて、非常に贅沢でした。季節によって新しくなるので、最も贅沢な石焼料理を是非とも体験してください。