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「もっと身近に福島第一原発を感じる」 知ってますか? 福島第一原発で働く人向けのwebについて

吉川彰浩一般社団法人AFW 代表理事
福島第一原発作業員の方向けweb 1 FOR ALL JAPN

福島第一原発という言葉を聞いただけで、忌避感がいまだ続く現状ですが、3月11日が近付くにつれ「作業員の方々を紹介してください」といったご依頼を受ける事が多々あります。

普段、筆者が働く方を中心とした活動を続けてきた事が一因ですが、もっと大きな要因は働く方が未だ「不透明なモザイクのかかった存在」とされているからでしょう。

ここで知る人ぞ知るweb、1 FOR ALL JAPANについてお届けします。2015年10月に開設されたものです。福島第一原発で働く方向けに作られたものですが、不透明でモザイクのかかった存在として決めつけてしまっている私達にとっては、働く方の姿を知る貴重な場ともなっています。

というのも、基本働く人向けですから食堂のメニューやバスの時刻表などが掲載されていますが、月刊いちえふ。という発電所構内で手に入るフリーペーパーを私達も見ることが出来ます。そちらに働く方のインタビュー記事が掲載されているからです。

月刊いちえふ。

月刊いちえふ。働く方はどなたでも自由に持ち帰れます。視察した際に頂いてきました。
月刊いちえふ。働く方はどなたでも自由に持ち帰れます。視察した際に頂いてきました。

こちらは福島第一原発の入退域管理施設や大型休憩所等で、無料で働く方に配られているフリーペーパーです。視察に訪れた方も自由に持ち帰ってよいものです。漫画いちえふを意識したような題名ですが、良く見るとモーニング娘。さながら「。」がついています。

ここで大切な事は、働く方が写真つき、所属、お名前付きでインタビューに答えている点です。これまで5年間、働いている人の声としては、本当に働いている方か?と思うような裏どり出来ないモザイクのかかったものばかりで、言わば伝える側に信を置くしかありませんでした。断片的に伝えられる内容に、抱いたイメージは負のイメージ一辺倒だったのではないでしょうか。ここでは働く方の誇りを感じることが出来ます。私達はそういった部分にあまりにも触れてこなかったように思います。

また、サイト内の1Fで働くみなさんへの中にある1F構内サーベイマップは私達にとっても有益な放射線情報とも言えます。

東京電力 1 FOR ALL JAPAN サーベイマップより抜粋
東京電力 1 FOR ALL JAPAN サーベイマップより抜粋

サーベイマップから、私達生活圏への影響を読み取る

画像で表示されている数字は全て、単位はマイクロシーベルト/毎時です。非常に高線量の場所は限られています。1~4号機廻り、そして画像左にある瓦礫置き場です。低い方に目を向ければ、1マイクロシーベルト毎時ほどとなっています。この状態が維持されているということを確認していくことができます。すると少なくとも”発電所入口付近で抑えられているならば、私達の生活圏まで影響を及ぼさない”と言えます。大きい数値に目がいき、危険な場所という見方もありです。ですが私達にとっては低い方を監視することが重要です。

働く方にとっても、今日働く場所の線量は必要な情報です、その延長線上に私達の生活圏への影響があると考えると、こういった情報は私達にとっても有益なものとなります。

筆者は原発事故前後の福島第一原発を知る者として、現場で働かれる方の思いと、福島第一原発を見守る社会の方々の思いには大きなギャップがあるようにいつも感じます。

1 FOR ALL JAPANの言葉に感じる思い

お気づきになられましたか?福島第一原発は通称「1F」と呼ばれています。福島の「F」と第一の「1」からなります。ちなみに福島第二原発は2F、柏崎刈葉原発はKKと呼ばれます。この1Fがwebのタイトルにかかっています。

今、福島第一原発は国内の様々な企業が、まさにALL JAPANで取り組んでいます。東京電力単体の力で成り立っている分けではありません。1日約7000人もの方が働いています。

原発事故後、廃炉はどういった意義を持つ場所になったでしょうか。国費を投入してなぜやる必要があるのか,利益を生まないにも関わらずです。それは私達が望んでいるからにほかなりません。

言い返れば、社会に安心を生み出すそれが福島第一原発の廃炉の意義です。ですが、私達は知らぬ存ぜぬと距離をおいています。それは廃炉の意義を現場の方ですら、見失うことに繋がりはしないでしょうか。

ALL JAPANの中には、私達が含まれている、そう感じてなりません。

一般社団法人AFW 代表理事

1980年生まれ。元東京電力社員、福島第一、第二原子力発電所に勤務。「次世代に託すことが出来るふるさとを創造する」をモットーに、一般社団法人AFWを設立。福島第一原発と隣合う暮らしの中で、福島第一原発の廃炉現場と地域(社会)とを繋ぐ取組を行っている。福島県内外の中学・高校・大学向けに廃炉現場理解講義や廃炉から社会課題を考える講義を展開。福島県双葉郡浪江町町民の視点を含め、原発事故被災地域のガイド・講話なども務める。双葉郡楢葉町で友人が運営する古民家を協働運営しながら、交流人口・関係人口拡大にも取り組む。福島県を楽しむイベント等も企画。春・夏は田んぼづくりに勤しんでいる。

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