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北朝鮮「千里馬-1型」ロケットの構造の推定

JSF軍事/生き物ライター
朝鮮中央通信より2023年11月21日に北朝鮮が発射した「千里馬-1型」ロケット

 北朝鮮が11月21日に偵察衛星「万里鏡-1」号の打ち上げに成功した衛星運搬ロケット「千里馬-1」型の構造について、ロケット外部に這わせてある電気配線管(cable raceway)の繋がり方から、第1段ロケットは長い構造だと確定したという指摘があります。

朝鮮中央通信より2023年5月31日に北朝鮮が発射した「千里馬-1型」ロケットから、筆者が段の範囲の解説を書き加え
朝鮮中央通信より2023年5月31日に北朝鮮が発射した「千里馬-1型」ロケットから、筆者が段の範囲の解説を書き加え

 千里馬-1ロケットの段の構造については当初より「推定1」と「推定2」の説がありました。「推定1」の構造だと第1段が極端に短く不自然でしたが、直径の変わり目という点では自然でした。「推定2」は第1段が長く上部タンクと下部タンク(推進剤と酸化剤)で直径が違う構造という推定です。

 これについて韓国軍は2023年6月16日に、5月31日発射分の北朝鮮「千里馬-1型」ロケットの残骸を回収していたのですが、韓国メディアは第2段と報道していました。これにより構造は「推定1」の方だろうと思われていました。

北朝鮮「千里馬-1型」ロケットの残骸を韓国軍が回収(2023年6月16日)

韓国軍の公式発表より回収された北朝鮮「千里馬-1型」ロケットの残骸
韓国軍の公式発表より回収された北朝鮮「千里馬-1型」ロケットの残骸

 しかし実際には韓国軍が回収した部品は第2段ではなく第1段の上部タンクの部分でした。千里馬-1ロケットの構造は「推定2」が正しく、第1段が長い構造のようです。韓国軍が回収した部品としてロケットエンジンを公開できなかったのは、単純にロケットエンジンが付いていない部品だったからです。もしも第2段を丸ごと回収していればロケットエンジンは公開されている筈でした。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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