ウクライナ問題が国連へ。2月に議長国がロシアになる前に。アメリカが安全保障理事会の公開会合を要請
ウクライナ国内への攻撃が迫っていると予想するアメリカは、1月27日(木)の声明で、1月31日(月)に国連安全保障理事会の公開会合を要請したことを正式に発表した。
AFP/Le Mondeが報じた。
米国は1月中旬に、クリミアの時と同様、ロシアが可能性のありそうなウクライナに軍事介入の後にのみ、安保理に付託する意向をほのめかしていた。しかし、グリーンフィールド米国連大使は声明の中で、「今は待っている場合ではない」、「今こそ安保理の全面的な関心が必要だ」と主張した。
「ウクライナ国境には10万人以上のロシア軍が配備されており、ロシアはウクライナを狙って、さらなる不安定化をはかる行いをしている。国際平和と安全、国連憲章に対する明確な脅威となっている」という。
また、「ロシアがさらにウクライナに侵攻した場合、ウクライナ、ロシア、欧州、そして国際秩序の基本的な義務や原則にとって何が問題となるかを考えなければならない」と述べて、2014年にロシアが併合したクリミアに暗に言及した。
外交官によると、もともとアメリカは、安保理を28日(金)に開催することを希望していた。しかし、情報筋によると、金曜日に予定されているマクロン仏大統領とプーチン大統領の電話会談の妨げにならないよう、31日(月)に延期することで合意したそうである。
また、1月31日(月)は、現在、国連安全保障理事会の議長国をつとめるノルウェーの最終日となる(ちなみに、NATOの事務総長、イェンス・ストルテンベルグ氏はノルウェー人である)。翌日の火曜日には2月の議長国をロシアに譲り渡すことになる。
ある外交官は、来月にはロシアが理事会の議題をコントロールしているため、アメリカにとってより複雑なものとなっていただろうと指摘する。
トーマス=グリーンフィールド米国連大使は最近、ルーマニアの公共テレビのインタビューに応じた。そこで、安保理への付託はロシアを孤立させることになると強調した。ロシアが拒否権を持っていたとしても、「統一戦線」の前では、「その孤立感は否めない」という。
「ロシアに対して団結すると、拒否権が弱まる」とクリミアを引き合いに出して、「当時、対露行動には13の賛成票、1つの棄権票、1つの反対票があり、これはロシアの拒否権であった。今回もそうであってほしいと願っている」と付け加えた。
中国はというと、モスクワの安全保障に対して「合理的な懸念である」と、公に支持したばかりである。しかし、中国はロシアに「影響力」を行使してウクライナへの攻撃を思いとどまらせる必要があると、アメリカのナンバー3の外交官であるヴィクトリア・ヌーランド氏は述べている。
一方で、バイデン大統領は、フランスとドイツの仲介でロシアとウクライナの間で行われている、いわゆる「ノルマンディー」方式の議論を指示することを表明した。
26日(水)の夜、パリでの会談が行われ、2月に協議を再開し、ウクライナ東部の停戦確保に取り組むことを約束した。本日、金曜日にはマクロン大統領とプーチン大統領の会談が行われる。「困難な状況」にもかかわらず、ロシアからの「再び取り組む」という「良いシグナル」は歓迎されている。
アメリカと英国のメディア報道(特に保守系メディア)にばかりに頼ると、事態を見誤る恐れがある。当初はロシアに無視されていた欧州の国々であるが、彼らの外交は活発化している。欧州の問題なのだから当然の話で、バイデン大統領は、欧州の東と西で意見が異なるなか、バランスを取りながら欧州と上手にタッグを組もうとしており、ある程度成功しているように見える。
米露対決を煽り、アメリカのリーダーシップを冷戦時代のような目で判断するのは、欧州に関してはもう古いかもしれないし、正しくないのではないか。