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ひどい組織風土の特徴とは? 組織風土を4つのシチュエーションで点検する

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

■「組織風土」とは何か?

組織風土を変えたい、組織風土を改善させたい、というニーズはどこの企業にもあるものだ。実体のないこの「組織風土」という名の空気によって、組織が実力以上の成果を上げることができたり、反対に本来のポテンシャルを下回るような結果しか出せないこともあるからだろう。

「うるさい組織」を卒業する「静かな仕組み」の作り方 ~仕組みとルール4つの組み合わせとは?

の記事でも書いた。どれほど優れた仕組みを作っても、どんなに洗練された情報システムを導入しても、組織風土が劣悪だと、まるで機能しない。

機能しないどころか「仕組み」が増えれば増えるほど「うるさい組織」になっていく。

また、とくに問題なのは優秀な若者が定着しないことだ。「集団思考」「グループシンク」といった概念を押さえておかないと組織風土はドンドン悪くなる。

それでは組織風土とはいったい何か? 

簡単に解説すると、組織構成員・メンバーの平均的な価値観のことだ。組織によって、これまでに培われた価値観・慣習は異なる。だから組織風土を変えようと思っても一筋縄ではいかない。

■会議中にチョコを万引きした話をはじめる人がいた……

たとえば、会議中にあるメンバーが「今日コンビニでチョコレートを万引きしたんだけど、あそこのコンビニって万引きしやすいよね」と言いはじめたとする。

それを聞いたあなたはどのような感覚を抱くだろうか?

「へェ、あのコンビニは万引きしやすいのか」と思うだろうか。それとも絶句して、他のメンバーと顔をしばし見合わせるか。おそらくほとんどの人は後者だろう。学生であろうが社会人であろうが、たとえ盗んだチョコレートが100円ぐらいの安価な代物であろうが関係ない。「万引き」は犯罪。許される行為ではない。

「万引きは犯罪だぞ。何を考えているんだ」

と問いただす以前に、そのようなメンバーが組織内にいること自体、信じられない、と誰もが感じるはずだ。その発言によって会議室は異様な空気に包まれ、発言者以外のほぼ全員が極度の居心地の悪さを覚えるはずだ。

■会議中にチョコを食べはじめた人がいた……

次に、会議中に「チョコレート」を取り出して食べはじめたメンバーがいたとしよう。それについては、いかがだろうか?

「甘いものを食べたほうが脳が活性化するから、いいんじゃないか」

と、あなたは思うだろうか。それとも「普通、会議中にチョコレートなんて食べるか?」と疑問を感じるだろうか。多くの人は後者だろうと思う。

ただ、「万引き」の事例ほどの違和感を覚えることはないだろう。私は現場に入り込むコンサルタントである。これまでに数え切れないほどの企業の会議にオブザーバー参加しているが、会議中にチョコレートを取り出して食べた人を見たことはない。

「ブレーンストーミング」のようなディスカッションをするため、あえてチョコやお菓子をテーブルに置き、リラックスしながら議論しよう、という特別なスタイルの会議の場合は別だ。

しかし一般的には、チョコやスナック菓子をおもむろに取り出し、むしゃむしゃ食べながら会議に参加する人は極めて稀だ。ペットボトルのお茶や缶コーヒーぐらいを飲みながらの参加が一般的だろう。

「万引き」ほどの拒否反応を抱くことはないにしても、そこにいるメンバーたちは、多少の居心地の悪さを覚えるはずだ。

■チョコを買ったせいで会議に遅刻した人がいた……

続いて、会議に遅れてきた人がいたとし、その理由が「コンビニでチョコレートを買ってきた」だったとすると、あなたはどのような印象を受けるだろうか?

チョコを万引きしたわけでもなく、会議中にチョコを食べるわけでもないのだが、遅刻の理由が「チョコレートの購入」だ。それほど強い違和感を覚えないかもしれないが、多くの場合、「そんな理由で会議に遅刻するなんて、おかしいじゃないか」と言いたくなるだろう。

ただ、「しょうがない奴だな」と思うぐらいで、その場にいづらくなるほどの拒絶感を覚えることはないかもしれない。

■お客様の電話対応で会議に遅刻した人がいた……

最後に、会議に遅れた人がいて、その理由が「お客様への電話対応」だったとしたら、どうだろうか。「それなら仕方がない」と思う人もいれば、「緊急の電話ならともかく、そんな理由で会議に遅刻するな。気をつけたまえ」と怒る人もいるだろう。

ただ、このシチュエーションはどんな組織にもありがちだ。会議の種類によっても、感じ方が異なるかもしれない。会社の株主総会、社長が出席する経営会議、課長が主催する定例会議……。会議の種類によっては「許されない」場合であったり「許容範囲内」の場合もあるだろう。

■組織内にただよう「空気感」とは?

このように明文化されたルールがなくても、組織内にただよう「空気感」が組織の行動を抑制したり、意思決定に重要な役割をしている。

「空気感」とは、「ここまでは許容範囲内だけど、ここからはさすがにマズいだろう」という組織内で通じる常識的感覚のこと。

「万引きが許容範囲内」という組織はまずないだろうが、会議中における嗜好品の飲食、緊急でも重要でもない私用が理由での遅刻が許容範囲内かというと、微妙な会社もあるはずだ。「お客様との電話」が理由での遅刻も同様だ。

ひどい組織風土の会社では、どれほど優れた仕組みを作っても、どんなに洗練された情報システムを導入しても、まるで機能しない。それどころか、

「なぜ活用しないのか?」

「意識が足りないのは、理念教育が徹底されていないからか?」

「評価制度に問題があるのでは?」

「マネジャー研修をやり直そう」

「それより1on1ミーティングのやり方を点検したほうがいい」

などと、組織風土の悪さを棚に上げ、いろいろな施策をまた作ろうとする。そうしてドンドン組織がうるさくなるのだ。組織風土のレベルを定期的に点検し、改善していこう。

<参考記事>

こんな会社は生き残れない!「うるさい組織」の特徴と改善策

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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