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無料で全部できる!「ChatGPT de コーチング」徹底解説 ~複雑なことを単純に考える研究所~

横山信弘経営コラムニスト
(提供:shutterstock)

目標を達成したい、問題を解決したい。そう考えたとき、誰かに「答え」を教えてもらいたい――そう考えている人は、コーチングを受けるべきではない。

コーチング対象の条件を満たしていないからだ。

クライアントになるには、自分の中にある「答え」をどう引き出したらいいか、わからない。こんがらがっている頭を、誰かに整理してもらいたい。覚悟を決めさせてもらいたい。背中を押してもらいたい。

こういう人がコーチング対象となるのだ。

もし、このクライアント条件を満たしているのであれば、ChatGPTを自分の専属コーチにすることを、私は強くお勧めする。

有能なビジネスコーチよりは劣っていても、いつでも、どこでも、手軽にコーチングを依頼できる価値は、恐ろしいほどに高い。

「複雑なことを単純に考える研究所」の企画からすれば、これ以上ない研究材料だ。今回は、コーチングの基本プロセスをすべてChatGPTに依頼したら、どうなるのか。全部紹介していこう。

(※ChatGPTを使う最大のメリットは、クライアントが「自己を客観視」できることにこそある。このポイントについては、記事の最後に記す)

それでは、実際にChatGPTを使いながら、コーチングの基本的な流れを、解説していこう。

(1)目的の明確化

(2)目標の設定

(3)現状の把握

(4)ギャップの原因分析

(5)行動計画の作成

(6)フォローアップ(※今回は省略)

■(1)目的の明確化

まず、コーチングの目的を明確にすることだ。

おそらく、この時点でくじけてしまう人もいるだろうが、問題ない。コーチングの目的さえも、ChatGPTにアイデアを出してもらえばいいからだ。

コーチングの目的なんて、似たり寄ったり。パターンは決まっている。個人差があっても、100種類や200種類もないはずだ。

ということは、10個や20個アイデアを出してもらえれば、その中に近いものがあるに違いない。その中から選択すればいいのだから、さっそくChatGPTに質問してみよう。

(※今回はChatGPTの実際の画面を貼り付けず、引用という形で紹介する。スマホで記事を読む際に見づらいからだ)

それでは、さっそく見ていきたい。ChatGPTに「コーチングの目的」についてアイデアを尋ねてみた。

私が書いた質問はこうだ。

あなたは私のコーチです。私に素晴らしい気付きを与えるために、とても効果的な質問をしてください。では、まず私に、コーチングの目的を、10種類の候補を挙げながら質問してもらえますか?

すると、以下のような答えが返ってきた。

はい、承知しました。以下は、コーチングの目的に関する10種類の質問です:

1.あなたにとって、コーチングの目的は何だと思いますか?

2.コーチングを通じて、何を達成したいと思いますか?

3.コーチングによって、あなたのキャリアにどのような影響があると思いますか?

4.コーチングによって、あなたのパフォーマンスや成果にどのような変化が生じると思いますか?

5.コーチングによって、あなたが直面している課題や障害を克服することができると思いますか?

6.コーチングによって、あなたの自己認識や自己理解が向上すると思いますか?

7.コーチングによって、あなたが達成したい目標や夢に近づくことができると思いますか?

8.コーチングによって、あなたが持つポテンシャルを最大限に引き出すことができると思いますか?

9.コーチングによって、あなたの能力やスキルを向上させることができると思いますか?

10.コーチングによって、あなたが持つ価値観や信念を明確にし、より一層強固な自己イメージを持つことができると思いますか?

なるほど。キャリアや現在の仕事のパフォーマンス向上、直面している課題解決。スキルアップ等、いろいろな選択肢を紹介してくれた。

多くの人が、この10種類のアイデアの中にコーチング目的を見つけられるのではないか。私は「キャリア」について考えてみたいと思った。したがってコーチングの目的は、自分のキャリアに関することを選択した。

■(2)目標の設定

目的が明確になったら、次は目標を設定していこう。

目標なきコーチングは意味がない。「悩み相談」や「傾聴による現状承認」がコーチングの目的ではないからだ。

私は「マネジャーとしてのレベルを上げること」を目標にしたいと考えた。しかし、具体的な目標をどう設定したらいいかわからない。だから、またChatGPTに聞いてみることにした。

私は将来、部下を一人前にできるマネジャーになりたいです。その目的を果たすためにどのような目標を設定したらいいのか。悩んでいます。10個アイデアを出してください

すると、ChatGPTは、このようなアイデアを出してくれた。

理想的なマネジャーとして目標を設定するためには、次のようなアイデアがあります:

1.部下のパフォーマンス改善目標:特定の期間内に、部下の生産性や品質の向上を数値化した目標を設定する。

2.コミュニケーション目標:特定の期間内に、より効果的なコミュニケーションを実現するために、部下との会話回数、1on1ミーティングの頻度、フィードバックの質の向上を数値化した目標を設定する。

3.リーダーシップ開発目標:特定の期間内に、リーダーシップ能力を向上させるために、書籍やコースを通じて学習時間や習得度を数値化した目標を設定する。

4.チームビルディング目標:特定の期間内に、チームメンバーの間での協調性やコラボレーションを促進するために、チームビルディング活動の回数や成功度を数値化した目標を設定する。

5.プロジェクト目標:特定の期間内に、プロジェクトの完了や成果を達成するために、部下の貢献度やタスクの完了度を数値化した目標を設定する。

6.スキル開発目標:特定の期間内に、スキルを向上させるために、特定のトレーニングや課外活動に参加する時間や習得度を数値化した目標を設定する。

7.プレゼンテーション目標:特定の期間内に、プレゼンテーションスキルを向上させるために、プレゼンテーションの回数や質を数値化した目標を設定する。

8.コーチング目標:特定の期間内に、部下に対してコーチングを提供する能力を向上させるために、コーチングセッションの回数や成果を数値化した目標を設定する。

9.リソース管理目標:特定の期間内に、プロジェクトリソースの効果的な管理を実現するために、予算や時間スケジュールの遵守率を数値化した目標を設定する

私の期待するようなものがないので困った。そのため、もっと違う視点で質問をしてみた(このように、いろいろな角度で依頼することが重要だ)

もう少し部下の成果にハッキリつながる目標はないですか?

すると、次のようなアイデアを出してくれた。

以下は、部下の成果につながる目標の追加アイデアです:

1.チーム目標達成率の向上:チームとして目標達成率を数値化し、特定期間内に目標達成率を向上させる目標を設定する。

2.部下のスキル向上目標:特定期間内に、部下が必要とするスキルの習得を数値化した目標を設定する。

3.コミュニケーションの改善目標:特定期間内に、部下とのコミュニケーションの質を向上させるために、コミュニケーション回数や品質の数値化された目標を設定する。

4.顧客満足度向上目標:特定期間内に、部下が担当する業務に関連する顧客満足度を向上させるために、顧客満足度調査結果を数値化した目標を設定する。

5.部下の自己成長目標:特定期間内に、部下が自己成長することを促進するために、自己成長プランの習得度や実行度を数値化した目標を設定する。

6.タスク完了目標:特定期間内に、部下が担当するタスクを完了するために、タスク完了率を数値化した目標を設定する。

7.リーダーシップ開発目標:特定期間内に、部下がリーダーシップスキルを向上させるために、リーダーシップトレーニングの参加率や習得度を数値化した目標を設定する。

8.新規ビジネス獲得目標:特定期間内に、部下が新規ビジネスを獲得するために、新規ビジネスの獲得数や成果を数値化した目標を設定する。

9.販売目標:特定期間内に、部下が販売を促進するために、販売数や売上高を数値化した目標を設定する。

10.クオリティ向上目標:特定期間内に、部下が製品やサービスのクオリティを向上させるために、クオリティ指標を数値化した目標を設定する。

おお! とても具体的だと感じた。自分が目指したい目標も見つけられたので、私は満足だった。今回、「リーダーシップ開発目標」を選びたいと思った。部下のリーダーシップの能力開発である。

■(3)現状の把握

続いて、現状把握である。現状の部下のリーダーシップはどれぐらいのレベルなのか。現状を把握するために、その切り口もChatGPTに聞いてみよう。(現状そのものを聞いても、ChatGPTは答えようがないため)

その人がどれぐらいリーダーシップを発揮しているのか。現状を診断したい。その診断のための指標はどんなものがあるか。10個出してください

すると、このようなアイデアを披露してくれた。

その人がどれぐらいリーダーシップを発揮しているかを診断するための指標のアイデアを以下に示します。

1.目標達成度: リーダーが設定した目標をどの程度達成しているかを確認する。

2.フィードバック収集: メンバーや上司、クライアントからフィードバックを収集し、自己評価と照らし合わせる。

3.チームのパフォーマンス: チームのパフォーマンスが向上しているかどうかを確認する。

4.コミュニケーションスキル: メンバーとのコミュニケーションが円滑に行われているかどうかを確認する。

5.組織文化との一致: リーダーの行動が組織の価値観や文化と一致しているかどうかを確認する。

6.問題解決能力: 問題が発生した時にリーダーが適切な対処を行うことができているかどうかを確認する。

7.モチベーション維持: チームメンバーがモチベーションを維持しているかどうかを確認する。

8.リスクマネジメント: リーダーがプロジェクトのリスクを適切に管理しているかどうかを確認する。

9.知識や経験の共有: リーダーがメンバーと知識や経験を共有し、チーム全体のスキル向上に貢献しているかどうかを確認する。

10.個人の成長支援: リーダーがメンバーの成長支援に取り組んでいるかどうかを確認する。

なるほど……。

具体的に考えたことがなかったので、とても大きな気付きを得た。目標達成度やコミュニケーションスキル、問題解決能力などは思いつくが、組織文化との一致、知識や経験の共有などについては、これまでに考えたことがなかった。

とてもいい気付きをもらえた。ここでは「組織文化との一致」を取り上げたいと考えた。「組織文化との一致」の項目が、まだ物足りないと仮定したのだ。

■(4)ギャップの原因分析

次に原因分析である。

なぜ「組織文化との一致」という項目に不足分を感じるのか。これもChatGPTに聞いてみよう。

部下の行動が組織の価値観や文化と一致していないケースがある。その部下にはいずれリーダーとして活躍してもらわなければならない。どのような原因が考えられるか。10個アイデアを出してもらいたい。

この質問に対しては、素晴らしいアイデアが返ってきた。ChatGPTを使いはじめて、最大の気付きを得たと言ってもいい。(その後に依頼した行動計画のアイデアも、きわめて秀逸だった)

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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