コロナ禍のチームに不可欠!「意外なメンバー」の存在
■成果にだけフォーカスする社長の"大誤解"
「口だけで全然やらないヤツより、チームの輪を乱しても成果を出すヤツのほうがいい」
ある社長にそう言われ、私はいったん受け止めた。わからないでもない、と思ったからだ。
「やります! 頑張ります!」
と言っている割に期待外れのメンバーと、
「やる気ないです。給料を稼ぐために働いているだけです」
と言いながらも、しっかり成果を出すメンバーと。どっちを選ぶかと問われたら、後者がいいと言う社長がほとんどだろう。
しかし、どちらもすでにメンバーならどうか。「出ていけ」とは言えないし、サッカーと違ってメンバー交代もできない。
そこで私は4枚のスライドを社長にお見せした。するとどうだろう。そのスライドを一目見だけで、社長はすぐに理解してくれた。
「なるほど……。これはわかりやすい」
さらに、
「私は大事なメンバーの存在を忘れていたようだ」
とも言ってくれた。
その大事なメンバーこそが「熱量はあるが、成果はそこそこ」のメンバーだった。このように、成果を出すメンバーだけに意識を向けているとチームの生産性は落ちていく。
それどころかコロナ禍においては、チームが瓦解していくこともあるのだ。
今回は、熱量と成果の関係を正しく知り、リーダーとしてどのようにチームマネジメントすべきか。どうすれば心理的安全性が高いチームへと変わっていくのか、解説する。
■リーダーを悩ませる「自燃人・可燃人・不燃人」
まずは前提知識として、自燃人・可燃人・不燃人について解説しよう。自燃人・可燃人・不燃人という表現をご存じだろうか。
(他にも、難燃人、消燃人……など様々な表現がある。今回は拙著『空気で人を動かす』でも紹介した3つのみとする)
・自燃人(自分で勝手に燃えている人)
・可燃人(火をつければ燃える人)
・不燃人(火をつけても燃えない人)
熱量の大きさで言えば、自燃人、可燃人、不燃人の順になる。ただ、ややこしいのは、成果の大きさがこの順番にならないことだ。
だからこそ、リーダーを悩ませる。
熱量が高くても、まるで成果を出せないメンバーもいれば、まったく協調性がなく、
「やる気なんてありません。給料を稼ぐために働いているだけです」
と言いながら、しっかりと成果を出すメンバーもいる。
■コンサルが気を付ける「意外な2人」のメンバー
私どもコンサルタントが現場に入って支援するとき、最も気を付けるのは次の2種類のメンバーだ。
・成果を出す不燃人
・成果を出さない自燃人
まず、成果を出す不燃人は厄介だ。成果を出してくれるのでリーダーとしては頼もしい。しかしチームは個人の集合体ではない。
この成果を出す不燃人を優遇したり、優遇しなくても放置しておくだけでチームはバラバラになっていくだろう。
「まずは成果を出せ」
「成果を出さないヤツに発言権はない」
という雰囲気が蔓延してしまうからだ。
■チームマネジメントの「裏」にある意外な真実
そこでリーダーがとるべき行動は、成果を出さない自燃人の活躍促進だ。
成果を出すための努力はもちろんやってもらう。だからといって成果を出すのはそう簡単ではない。
それにチームへの貢献は、個人の成果だけではない。チームのパフォーマンスを上げるための貢献は、他にもいろいろとある。
たとえば自燃人は、チームの空気を変えてくれる。
協調性、規律性、積極性など、チームマネジメントに不可欠な空気・雰囲気を作るのに一役買ってくれるのだ。
「成果も出してないヤツが、何を言ってんだ」
などいう空気を作ってはならない。評価には、成果評価・能力評価・情意評価の3種類があるように、成果は評価項目の一つに過ぎない(ウェイトは人によって違うだろうが)。
優れたリーダーは自燃人の熱量を使って、チーム内の空気を変えていく。そうすることでチーム全体の成果が底上げされていくのだ。
コロナ禍になり、チームマネジメントに苦労するリーダーが増えている。成果だけにではなく、リーダーはチーム全体の熱量にも着目すべきだ。そしてメンバーそれぞれの絶対長所に焦点を合わせ、チームの成果を最大化させよう。