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ラポールシンキング(信頼思考)入門 ~5つの切り口で人間関係を良好にする技術~

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■誰もが「不変」と答えた最重要ファクターとは?

今年、営業の第一人者20名にインタビューをし、「ニューノーマル時代になっても変わらないこと」は何か、を聞いた。

すると20名の第一人者全員が同じ答えを出した。しかも考えることなく即答した方が15名いた。その内容こそが「信頼関係」であった。

「どんなに時代が変化しようとも変わらないことは、お客様との信頼関係。これは間違いない」

どんなにデジタル化が進もうが、AIが進化したとしても、営業にとって重要なことは変わらない。お客様との信頼関係が前提であり、その前提なしで、営業活動はない、ということなのだ。

これは営業活動のみならず、ビジネスにおいても、私生活においてもそう。オンライン化が進み、よりいっそう人と人とがリアルに接触する機会が減っていく未来において、この信頼関係というファクターの重要度は増すだろう。

そこで、今回は「信頼関係」をみずから意識し、積極的に構築していく思考を「ラポールシンキング」と名づけ、解説する。

2021年最後の大作記事(6800文字)。ぜひ最後まで目を通してほしい。

■ラポールシンキングとは何か?

「ラポールシンキング」とは、私の造語だ。

この『横山塾』では、過去記事においてロジカルシンキング、クリティカルシンキングについて解説してきた(とくにロジカルシンキングについては多面的に解説しているので、記事の最後にバックナンバーを記載しておく)

いつの間にか自然と結ばれている信頼関係ではなく、明確な意志をもって相手と関係を構築するための思考技術と捉えていただければいい。

ラポールとは臨床心理学の用語だ。セラピストが使用するクライアントとの間の心理状態を指す。

フランス語で「架け橋」という意味であることは有名で、心が通じ合ったお互いの関係をあらわす意味合いで使われる。以下のように、現在はビジネス分野でも一般的に使われ、ビジネス書でも頻出するワードだ。

「上司は部下とラポールを構築することが大事」

「営業はお客様とのラポール形成に努めよ」

■さらに詳しくラポールを理解する

ラポールが構築されていると、どのような状態になるのか。もう少し噛み砕いて表現してみる。

○一緒にいて、緊張せずにリラックスできる状態

○お互いが心を探り合う必要がない状態

○お互いが相手を尊重している状態

相手を尊敬していても、その人の前だとついつい緊張してしまうというのであれば、ラポールが正しく構築されていると言えない。いっぽうリラックスし過ぎて、相手に無理難題を押し付けたり、相手の存在を承認できないような態度をするのであれば、これもラポールが構築されているとは言えない。

一緒にいて落ち着き、相互にリスペクトできている状態を「ラポールが構築されている」と呼ぶ。

「人生において、あなたが一番大切にしていることって何ですか?」

と質問され、深く深く考えられる。心の奥底に潜んでいて簡単には見つけられないことであったり、ふだんは誰にも伝えないようなことも口にしてしまう。そのような状態と書けばわかりやすいだろうか。

もし相手とラポールが構築されていなければ、

「なんでそんな質問にこたえなくちゃいけないのか」

と反発したくなるだろうし、反発はしなくとも、

「まあ、家族でしょうね。家族が一番大切だと思います」

と深く考えずに答えてしまうだろう。

■一般のビジネスパーソンではペーシング技術を体得できない

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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