ハートが湿っている人に、火をつける2つのポイント
■ 自燃人、可燃人、不燃人の違い
「あの人、いつも燃えてるよね」
「社長の一言で、あの人、ずいぶんやる気が出てきたみたい」
「みんなが意識を変えようと頑張ってるのに、あの人だけ我が道をいってる」
組織には、いろいろなタイプの人がいます。たとえば、自燃人(じねんじん)、可燃人(かねんじん)、不燃人(ふねんじん)の3種類です。
自燃人は、自分で勝手に燃えている人。可燃人は、火をつければ燃える人。不燃人は、火をつけても燃えない人を指します。
(※ 一般的に、燃焼性に関する表現は、「可燃性」「難燃性」「不燃性」に分類されます。勝手に燃焼する自燃性という表現はない)
(※ なかなか燃えない難燃人、他人の火を消す消燃人などという呼び方もある)
米国の調査会社ギャラップによれば、エンゲージメント(熱意)の高い社員は、米国の32%に対して、日本企業は6%しかいない、という結果が出ています。
企業経営者にとっては、当然のことながら「会社に貢献したい」と思う、熱意あふれる社員がほしい。勝手に燃える社員がベストかもしれませんが、そう多くはないでしょう。
ですから今回は、可燃人を対象に、どう火をつけ、熱意ある人財に変化していけるかを考えたいと思います。(不燃人は対象外)
(※ 不燃人は、集団同調性バイアスがかかりにくい。多くの人が同調しているからといって、心理的影響を受けない)
■ 可燃人の状態
自燃人、可燃人、不燃人というのは、素材の分類です。しかし素材は同じでも、状態によって、燃焼性は変わります。
薪を想像してみましょう。薪には、針葉樹、広葉樹など、いろいろな種類があります。
(※ 参考記事:くすぶっている人のハートに火をつける方法)
樹液の成分によっても燃焼性が変わるようですが、とはいえ十分に乾燥していれば、どのような樹種でも、それなりに薪として使えるそうです。
ということは、可燃人が燃えるかどうかは乾燥している状態かどうかにかかっている、ということです。
どんなに燃焼性に優れた素材であろうが、濡れていたり、湿っていたら、よほどの火力がない限り、燃えることは難しいでしょう。では、人を「乾燥させる」には、どうしたらいいのか。人を「湿らせない」ためには、どうしたらいいのでしょうか。
■「水を差す人」は大敵
よく「尻に火がつかないと、やらない」と言います。ぐずぐずして、なかなか行動を起こさない人は、ハートに火がついていません。まさにハートが湿っている状態といってもいいでしょう。
ここで、大事なのは、水を差す人が近くにいないかということ。
「そろそろやらないとマズイな。部長に怒られるかも」
と、口にしても、
「部長は、期限を守らなくても、そんなに怒らないよ」
とか、
「そもそも、その仕事って、俺たちがやらなくちゃいけないのかな」
などと、誰かに言われるようだと、せっかくハートに火がつきそうだったのに、水を差され、消されてしまいます。
「将来、会社に貢献できる社員になります」
と若手社員が上司に宣言しても、
「何、熱くなってんだよ。うちの会社で頑張っても、給料そんなに増えないぞ」
と笑われたら、すぐにハートは湿ってしまいます。したがって、可燃人の状態を正しく保つためには、「水を差す人」と距離を置くことです。
水を差すようなことを言われても、おかまいなしに燃えているのが自燃人。可燃人は、心を湿らせ、状態の悪い薪のようになってしまいます。
■ ノイズを除去しろ
状態をよくするには、ノイズ(不純物)を除去することも大事です。つまりピュアであることが大事な要素。新入社員のほうが燃えやすいのは、社会人としてピュアだからです。
選択肢を増やせば増やすほど、どの選択肢も選べなくなっていくことを「選択のパラドックス」と言います。
(※ 参考記事:「情報収集家」が優柔不断になるワケ)
高度情報化時代となり、いろいろな情報が入ることによって、多くの人が燃焼しづらい状態になっています。
情報過多になれなるほど、人は迷うようになります。本当にこの仕事をやっていていいのだろうか。自分がやりたいことって、本当は何だろうかと、迷いはじめるのです。
限られた情報しか手に入らなかった過去のほうが、熱く燃える人が多かったのはそのせいです。いろいろな情報に振り回されていると、燃えづらくなっていきます。とはいえ、情報をシャットアウトすることは今の時代、困難ですから、自分にとって、必要な情報なのか、そうでないのかを「正しく仕分けする技術」が必要です。
状態をよくして、熱意ある人財をめざしましょう。