Pixel躍進 高コスパとドコモ採用で「国内2位」は盤石か
IDC Japanによる国内スマホ市場の調査では、2023年4〜6月期にグーグルが大きく躍進して2位になりました。
高コスパな価格設定やドコモによる採用を背景に、シェア上位は盤石なものになりつつあります。
ミッドレンジ、高コスパ、ドコモ採用が決め手か
この調査では、スマホ国内シェア1位がアップルという状況は変わらないものの、Androidメーカーがひしめく2位以下に大きな変化があり、グーグルが2位に浮上しました。
ところで、グーグルが「国内2位」というニュースは、最近見たことがあるという人も多いかもしれません。
これは香港の調査会社であるCounterpointによる2023年1〜3月期の調査に基づいたもので、家電量販店のPOSデータなど「オープン市場」での数字とみられます。
これに対してIDC Japanは、国内スマホ出荷の9割程度を占める「キャリア市場」の数字を含んでいるとのことから、日本のスマホ市場をより正確に反映していると筆者は考えています。
また、2位といっても団子状態ではなく、2位のグーグル(15.4%)と3位のサムスン(8.0%)の間に比較的大きな差があることも印象的といえます。
IDC Japanによれば、上位5社の中でグーグル以外は、前年比で出荷台数を大幅に減らしているとのことから、Pixelはしっかり売上を伸ばしつつ2位になったことになります。
なぜ、前回の調査で上位5位に入っていなかったグーグルが、2位に急浮上したのでしょうか。
基本的な背景として、グーグルはソフトバンクを始めとする日本の携帯キャリアと連携し、Suicaやおサイフケータイに対応するなど日本市場に最適化したスマホを投入してきた経緯があります。
その上で、大きな要因として考えられるのが「ミッドレンジの新機種」「高コスパ」「ドコモによる採用」の3点です。
まず、スマホの「出荷台数」シェアでは、数が出ないハイエンド端末よりも、数が出るミッドレンジ端末が重要です。グーグルは5月にミッドレンジの新機種「Pixel 7a」を発売しています。
次に、コスパの良さもあります。Pixel 7aの日本での価格は税込6万2700円(グーグル直販価格)で、前モデルのPixel 6a(5万3900円)から少し値上げされたことはたしかです。
しかし米国での価格と為替レートを考慮すると、日本での価格は税込7万円台後半でもおかしくないことから、Pixel 7aのコスパの良さは同価格帯の端末の中でも際立っています。
それでも、実際にシェア上位に食い込むにはKDDIとソフトバンクだけの採用では難しいとみられていましたが、今回のPixel 7aでドコモが4年ぶりに採用に踏み切ったことも、2位浮上に大きく貢献したと考えられます。
果たしてこの2位は今後も続くのでしょうか。最近のスマホ市場では、国内ブランドの縮小や撤退、中国メーカーとの距離感などから、携帯キャリアがグーグルに期待するところは以前より大きくなっている印象を受けます。
また、よく売れた機種には大きな買い替え需要が生まれるため、将来的に後継モデルを提供する傾向にあります。これらを総合して考えると、グーグルは今後も安定してシェア上位をキープできるといえそうです。
10月4日「Pixel 8」発表へ
10月4日23時(日本時間)には、グーグルが新製品発表イベントを開催する予定です。
新製品としては、ハイエンド機種となる「Google Pixel 8」と「Google Pixel 8 Pro」、スマートウオッチの「Google Pixel Watch 2」を予告しています。
グーグルは製品名や基本的な外観を発表前に出してしまうというスタイルで、秘密主義のアップルとは対照的といえます。
引き続きPixelの躍進は続くのか、機能や価格面に注目が集まりそうです。