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PayPayカード登場、でも「既存ユーザーに冷たい」との声も

山口健太ITジャーナリスト
PayPayカードが募集開始(PayPayカードのWebサイトより)

12月1日、新たなクレジットカード「PayPayカード」の募集が始まりました。タッチ決済に対応した3つの国際ブランド、ナンバーレスデザインの採用など、最新仕様で固めています。ただ、既存の「ヤフーカード」ユーザーからは不満の声もあるようです。

これまでの経緯として、2020年7月にはZホールディングスが金融事業のブランドを「PayPay」に統一する方針を発表。そこから1年強が経過した2021年10月1日、「Yahoo! JAPANカード(ヤフーカード)」を発行するワイジェイカード株式会社がPayPayカード株式会社に社名を変更し、新展開が期待されていました。

2020年7月にPayPayブランドへの統一を発表していた(Zホールディングス提供画像)
2020年7月にPayPayブランドへの統一を発表していた(Zホールディングス提供画像)

新たに登場したPayPayカードは、ヤフーカードと同じく年会費が永年無料。最近はカード情報をカードの裏面に記載する事例が増えていますが、PayPayカードは裏面にもカード情報を記載しない「ナンバーレス」デザインを採用。スマホに対応した「会員専用サイト」を開いて確認する仕組みです。

裏面にもカード情報を記載しない「ナンバーレス」デザイン(PayPayカード提供画像)
裏面にもカード情報を記載しない「ナンバーレス」デザイン(PayPayカード提供画像)

国際ブランドはJCB、Visa、Mastercardの3種類を選択でき、すべてタッチ決済に対応しています。さらにカードデザインは一般的な横型に加え、最近増えている「縦型」も選べるなど、最新仕様で固めています。

最近増えている「縦型」デザインも選べる(PayPayカード提供画像)
最近増えている「縦型」デザインも選べる(PayPayカード提供画像)

実際に筆者も申し込んでみたところ、申し込みから数分で審査が完了。これはヤフーカードの特徴である「最短2分」の審査の仕組みを受け継いでいるといいます。物理的なカードの発送には時間がかかりますが、画面上でカード番号や有効期限などを確認し、すぐにオンラインショッピングに利用できました。

特典として、カード利用額の1%のPayPayボーナスが付与されます。PayPayアプリの支払い用に登録した場合も1%の還元を受けられますが、こちらは「終了日未定のキャンペーン」という建て付け。PayPayの利用状況に応じて変わる「PayPayステップ」の最大1.5%と合わせて、最大2.5%還元をうたっています。

まだ出たばかりで、機能的に不足している印象はあります。カード情報を確認できるのは会員専用サイトのみで、PayPayのアプリには統合されていません。Apple Payに登録する機能もなく、現時点での対応予定は未定としています。

「ヤフーカード」ユーザーに冷たい?

PayPayカードの登場に伴い、これまでのヤフーカードは新規の申し込み受付を終了。すでにヤフーカードを持っている人は2022年4月以降に切り替えが予定されています。ただ、PayPay還元率のキャンペーンでは他社カードと同じ扱いになるなど、ヤフーカードを使ってきたユーザーからは不満の声もあるようです。

ヤフーカードは他社カードと同じ扱いになる(PayPay提供画像)
ヤフーカードは他社カードと同じ扱いになる(PayPay提供画像)

背景として、ヤフーカードは2枚持つことができないとの制限があり、ヤフーカードとPayPayカードを両方持つことはできないと運営会社は説明しています。どうしてもPayPayカードが欲しい人は、ヤフーカードを退会してPayPayカードを申し込むといった面倒な手続きを強いられることになり、新規入会特典も対象外となっています。

もう1つ気になるのはTポイント連携の終了です。ヤフーカード利用額の1%が付与されるTポイントは、2022年4月からPayPayボーナスに変更されます。さらにPayPayカード発表の翌日にはヤフーとソフトバンクもTポイント連携の終了を発表するなど、Tポイントをためていた人にとっては残念なニュースが続きました。

Tポイントは共通ポイントとして歴史があり、対応店舗が多いのはもちろん、他のポイントに交換する手段も充実しています。こうしたTポイントの便利さは筆者も気に入っていただけに、新しい仕組みでTポイントを上回る利便性を得られるのか気になるところです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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