■Yahoo!ニュース 個人、2月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース 公式コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選6本の記事と3本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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2月のMVA

乏しい支援に、続けるほど枯渇する活動資金。それでも人生を災害ボランティアにかける理由(イソナガアキコ)

筆者による受賞コメント:自らの意思で災害支援活動を続ける小玉さんが、Facebookでふと漏らした焦燥や不安。吐露しなければ誰も気づかなかったであろう個人的なつぶやきは、みんなで考えねばならない課題でもあると感じました。記事にするにあたり気をつけたのは、安易に感動に結びつける文章にはしないということ。小玉さんの尊厳を傷つけることのないよう、ボランティアのリアルを丁寧に伝えることに集中しました。記事を読んだ方から「ボランティアの平時について考えたことがなかった」「彼らを支える仕組みは必要だと思った」と感想をいただき、また小玉さんには寄付の申し出もあったそうで、何かのきっかけの一つにはなったのかなと安堵しています。(イソナガアキコ

選出理由:プロボノとして災害支援に取り組む、小玉幸浩さんへのインタビューを通してその活動に迫った記事です。小玉さんの人となりやこれまでの人生を紹介しながら、決して楽とは言えないボランティア活動のリアルな悩みがつづられています。その情熱を伝えるとともに、善意の民間ボランティアにかかる負担の大きい日本において「どうしたらいいか?」を一歩踏み込んで考えることを読者に促してくれる内容です。

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アサリの産地偽装はなぜ繰り返されるのか? ~みんなが幸せになる産地偽装のカラクリ~(勝川俊雄)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選出いただき、ありがとうございます。アサリの産地偽装がメディアで取り上げられたのですが、構造的な問題に踏み込んだ報道は少なかったため、どうして不正が蔓延するのかわからないという声がSNSなどで多く見られました。そこで、国産アサリ資源の枯渇、トレースできない水産流通、非現実的な消費者の国産信仰など、産地偽装が蔓延する背景について、一般消費者にもわかるように丁寧な解説を試みました。われわれの食生活に深く関わる水産の実態について、多くの方に関心を持っていただいたことをうれしく思います。(勝川俊雄

選出理由:熊本産アサリの97%に外国産が混入していたというニュースに対して、熊本に限らず各地で長年にわたり産地偽装が常態化していた背景を丁寧に解き明かし、水産業の構造的な問題を解説した記事です。透明性に欠ける流通の課題とともに、消費者が漁業生産の実情を知り、安い国産アサリを求めることについて考え直すべき時がきているとも指摘し、われわれ消費者のあるべき姿についても非常に考えさせられる一本です。

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フリースタイル「ラップ×お笑い」が根づいた理由 タモリ、ジャリズム、ジョイマン…ラップネタの変遷(鈴木旭)

筆者による受賞コメント:月間MVAの選出、誠にありがとうございます。「音楽×お笑い」は私自身のルーツであり、テレビ創成期からの文化でもあります。とくに日本のラップ文化は、私の高校時代に広く浸透したもの。今でも人気が根強いこともあり、本記事を書くに至りました。芸人のラップネタは情報量が多く、適切なピックアップの仕方だったかは今でもわかりません。ただ、だからこそ読者からの反響も大きく、その方にとっての「ラップ×お笑い」を感じていただけたのだと思います。今後も、過去と現在を行き来しながら、多くの方に響くようなものが届けられるよう精進して参ります。(鈴木旭

選出理由:「芸人」と「ラップ」という、各々で非常にコアなファン層を抱えるジャンル同士の接点・歴史を、多くの読者にとってわかりやすい形で紐解いてくれた力作です。日本のヒップホップシーンがメジャーになるに従い、芸人の方のラップネタは自ずと増えていきましたが、「芸人ラップ史」でみた場合、どういう文脈での捉え方が正しいと言えるのか。ファンの数だけ解釈や疑義が生まれるであろうテーマに対し、双方の造詣が深い筆者があえて取り組んでくれたおかげで、読者間でも発見と言論が生まれるきっかけになったのではないでしょうか。

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「新喜劇の明石家さんまを作る」。間寛平GMの願いと覚悟(中西正男)

筆者による受賞コメント:芸人さんを中心に芸能取材をして23年ほど経ちましたが、間寛平さんのことを悪く言う人を誰一人見たことがありません。ランとヨットだけで地球一周するアースマラソンを完走されてからはさらに神々しさも出てきた。それを強く感じています。昨年、お話をうかがった時に「このままゆっくり人生を終えるんやなくて、まだあとひと山かふた山大きいものを作ろうと思ってんねん」とおっしゃっていました。今回の取材で「あの時、おっしゃっていたのはGMのことだったんですか?」とお尋ねしましたが「これはあの後に話をもらったもんやから、中西君に言うてたんはまた別やねん。それはそれでメチャクチャ大きいことやから、また言うわ」とのことでした。寛平さんのギャグで「止まると死ぬんじゃ」というものがありますが、ギャグを地で行くすさまじい馬力。ますます加速する寛平さんに引き離されないよう、これからもしっかりと取材をしていきたいと思っています。(中西正男

選出理由:吉本新喜劇のGMに就任された間寛平さんのインタビュー記事です。筆者は若かりし頃の思い出を振り返りながら、今の若手へのメッセージを寛平さんから引き出しました。そして、新喜劇の未来がどうあってほしいのか。GMとしての心意気が伝わる言葉の数々は、寛平さんの知られざる一面が描かれた1本です。

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東野幸治の畏るべき才能 『ワイドナショー』休演でわかった「心ない司会者」の天才的真骨頂(堀井憲一郎)

筆者による受賞コメント:東野幸治さんはテレビの番組でご一緒したとき、トイレでばったり会って、あれほんまに調べたはるんですかあ、とのん気に聞いてきたときの印象が強く残っている。新型コロナの影響で『ワイドナショー』で、東野幸治と松本人志の二人が休むという「事故」に近い事態で放送され、そのおりのとてつもない違和感から、東野幸治がこの番組の「本来あるべきもの」をすべて支えていることに気づいた。その感覚を何とか文字にしてみた原稿でした。(堀井憲一郎

選出理由:フジテレビ「ワイドナショー」を松本人志と東野幸治が休んだ回を分析し、通常回と比較。東野のMC力や役割、その力量を浮き彫りにした記事です。出演者の発言を丁寧に確認していて、番組が「おもしろく」感じる要因と東野幸治の「才能」がよくわかります。「司会力」「立ち振る舞い」といった言語化しにくい役割を的確にまとめた内容は、「テレビウォッチャー」として活躍する筆者の真骨頂と言えるのではないでしょうか。

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伝説の店『中村屋』が休業へ 天才ラーメン職人が思い描く新たな夢とは?(山路力也)

筆者による受賞コメント:『中村屋』の創業が1999年、私のラーメン評論家としての活動開始が1998年と、ほぼ同時期にデビューしたこともあり、店主の中村さんは立場こそ違えど、私の中ではラーメン業界を共に盛り上げる「同志」のような存在です。創業当初に取材させて頂いた店を、こうしてまた休業のタイミングで取材出来たことも感慨深いものがありますし、20年以上経った今もこうして一杯のラーメンを挟んで中村さんと向き合えていることにも感謝しています。今回のMVA受賞は中村さんのおかげです。ありがとうございました。(山路力也

選出理由:今年1月、伝説の店として知られる『中村屋』が2月で無期限休業に入ることが告知された時は、ラーメンマニアの間に衝撃が走りました。「天空落とし」と呼ばれる独特の湯切りスタイルで注目された店主の中村栄利さんの姿を、テレビ等で見たことのある人も多いのではないでしょうか。ラーメン評論家として長く活動を続ける筆者が、20年以上にわたりラーメン業界に革命を起こし続けた中村さんの軌跡と中村さんなりの幕の下ろし方、そして今後を、丹念につづっています。常にチャレンジし続ける中村さんの姿に力をもらえる1本です。

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2月のMVC

『土壇場大逆転勝利!カーリング女子「よくさっちゃんが決めた」藤沢は胸張る「練習してきた」(デイリースポーツ)』の記事へのコメント(市川美余)

筆者による受賞コメント:月間MVCに選んでいただき、ありがとうございます。「面白いけど解説がないと少し分かりにくい」、と多くの方が思われるのがカーリング。選手の素晴らしい活躍を伝える一助となれたことを嬉しく思います。戦術もさることながら、ショット成功率が勝利を決定する要素の1つです。「根性論ではなくこの大舞台にたどり着くまでの過程があったのだ」、と感じざるを得ない試合であり大会でした。カーリングは奥深いです。今後もその魅力をお伝え出来るよう努力していきます。(市川美余

選出理由:北京五輪で日本カーリング界初の銀メダルを獲得した女子日本代表(ロコ・ソラーレ)。メダル獲得へ向けた大事な試合で土壇場からの逆転勝利がなぜできたのか。過去の経験を生かせた点やメンバーそれぞれの貢献についてコメント。試合だけでなく、コメントからもカーリング競技の魅力、チームワークの素晴らしさが伝わりました。

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『2歳以上園児に「国としてマスク着用推奨」…知事会が要望、厚労相も前向き意向(読売新聞オンライン)』の記事へのコメント(岡本光宏)

筆者による受賞コメント:第6波以降、新型コロナウイルスの感染者の主体が10代未満にシフトしてきたことに加え、幼児のマスク、5~11歳の予防接種など、小児科医が積極的に情報発信していく局面が訪れました。いまだにコロナ禍は収束せず、世界情勢は緊迫としており、不安な日々が続いていくと思います。子どもに関連するあらゆるニュースに対して、子どもの総合医として、そして子どもの代弁者としての視点をこれからも共有させてください。(岡本光宏

選出理由:新型コロナウイルスの感染症対策として、全国知事会が2歳以上の園児にマスク着用の推奨を求めたという記事に対するコメントです。様々な議論がなされた話題に対して、小児科医の知見から子どものマスク着用におけるリスクを分かりやすく解説。保育現場で推奨された場合の懸念についても言及しています。

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『米CDC 妊娠中のコロナワクチン接種 乳児の感染による入院防ぐ(日テレNEWS)』の記事へのコメント(紙谷聡)

筆者による受賞コメント:この度は選出いただき誠にありがとうございました。本記事の研究は、私の知る限り世界で初めて、妊婦のコロナワクチン接種が、妊婦をコロナウイルスから守るだけでなく、生まれてくる子をも守ることができることを示したものです。本研究に携わった研究者として、より詳細なデータやその解釈の仕方を説明して、一般の方の研究結果の理解につながるように心がけました。コロナワクチンに関するさまざまな誤情報やデマが蔓延するなか、本研究のような真の情報の発信を他の先生方とともに今後も続けていきたいです。(紙谷聡

選出理由:CDCと連携してワクチン研究にあたる当事者の立場から、記事が伝える研究結果をより詳しく解説してくれました。お母さんと赤ちゃんの健康を守るため、予防接種に関するニュースを正しく理解してほしいという小児感染症専門医としての思いが詰まったコメントです。

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