2歳未満にマスクが推奨されない理由は、①呼吸が苦しくなり、窒息の危険がある、②嘔吐した場合にも、窒息する可能性がある、③熱がこもり、熱中症のリスクが高まる、④顔色、呼吸の状態など体調異変の発見が遅れる、という点です。これらの問題は、2歳になればすべて解決するわけではありません。日本小児科学会は「子どもがマスクを着用する場合は、いかなる年齢であっても、保護者や周りの大人が注意することが必要です」としています。 園児へのマスク導入は、保育所が園児一人一人をきめ細やかに観察・対応できるだけのキャパシティがあることが前提であり、集団生活の場である保育所にとって大きな負担となるでしょう。私が心配するのは、そのキャパシティが不足している保育所が「2歳以上は必ずマスクしなければならない」という点だけを真面目に実行し、子どもの安全が脅かされることです。
コメンテータープロフィール
日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学に入局後、2023年から現職。モットーは新生児から思春期まで幅広く。著書として「初期研修医・総合診療医のための 小児科ファーストタッチ」、「研修医24人が選ぶ 小児科ベストクエスチョン」、「【0‐6歳 最新版】ママとパパの赤ちゃん・子どもの病気・ホームケア事典」、「子どもの診かた、気づきかた 小さな異変もこぼさず拾える!」など多数。
