【Yahoo!ニュース 個人】8月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、8月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメント、筆者の受賞コメントをあわせて紹介します。

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8月の月間MVA

女子マラソン元日本代表の万引き事件からみる、女子アスリートと摂食障害の問題(江川紹子)

筆者による受賞コメント:MVAに選んでいただき、ありがとうございます。摂食障害受刑者の取材をしていた時でもあり、逮捕の報道を見た時、「もしかして…」と思ったことがきっかけでした。マスメディアでは「犯行は計画的」といった報道もありましたが、治療が必要な一種の症状だと速やかに伝えることができ、Yahoo!ニュース(個人!)という媒体の存在意義を感じました。

江川紹子

選出理由:女子マラソン元日本代表選手が万引の疑いで逮捕されたことを受け、事件報道後すぐ留置所に赴いて本人に取材した記事です。現役時代から摂食障害を患っていたという本人の言葉を紹介し、女子アスリート界の問題などを掘り下げて報じた、摂食障害の女性受刑者を追い続けている筆者ならではの貴重な1本です。

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死後20年、ダイアナ元妃が残したレガシー 王子2人に受け継がれた愛のバトン(木村正人)

筆者による受賞コメント:ダイアナ元英皇太子妃が亡くなって今年で20年。私が新聞社のロンドン特派員として赴任したのが10年前だったので、ダイアナ没10年の取材をしたのをよく覚えている。亡くなってからもスキャンダラスな面ばかりが注目されるダイアナだが、案内役がいたとは言え、アンゴラの地雷原を歩いた勇気には今更ながら驚かされる。愛を失った人間としての弱さが彼女の王子たちへの愛、人間への愛を深めていく。ダイアナは将来の国王になる王子を立派に育て上げた。この深い優しさが受け継がれていく限り、イギリスのロイヤルファミリーは安泰だ。ダイアナ元妃、安らかにお眠りください。

木村正人

選出理由:ダイアナ元英皇太子妃の突然の死から20年。彼女がなぜいまだに英国の人々に愛され続けるのか、2人の王子に遺した想いはなんだったのか。ケンジントン宮殿に集まった現地の人々の声を丹念に拾いながら節目の年に振り返る、貴重な記録にもなっている記事です。

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報道陣100人が殺到!写真から見える 藤井四段人気の凄さ(松本博文)

筆者による受賞コメント:将棋界では、自分が撮影した写真が評価されることはほとんどないので、まさに「望外」という感じです。フリーの記者の視点から、対局が始まる前の静謐さと、藤井聡太四段ブームがピークを迎えた瞬間の熱狂を伝える1枚として、評価されたものと愚考しております。歴史的な場面に立ち会うことのできた僥倖に感謝したいと思います。

松本博文

選出理由:一挙手一投足に注目が集まる藤井聡太四段。筆者は40社100人の報道陣が詰めかけた6月26日の対局を、意外な角度で取り上げました。写真からは現場の熱気が伝わり、強烈なインパクトを与えました。またこの部屋が最上級の「特別対局室」であることなど、ベテラン記者ならではの情報も盛り込み、読者の知識をより深めました。

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「doxing(晒し)」目的のクラウドファンディングーー個人情報を特定する“私刑”のリスク(塚越健司)

筆者による受賞コメント:この度は月間MVAに選出いただき、ありがとうございます。アメリカ同様日本でも政治的対立が激化する中で、クラウドファンディングでdoxingを募るという、一線を越えた行為に衝撃を受けたのが執筆のきっかけでした。問題の根本的な解決策が見当たらないことに歯がゆさを覚える一方、読者の反応は概ね文意を受け取っていただきました。とはいえ一部はdoxingを容認する声もあり、市民が「群衆」となることの危うさを今後も伝えていこうと思いました。

塚越健司

選出理由:白人至上主義者の身元を特定しネット上で晒し上げ、不特定多数による私刑をくわえる「doxing=晒し」と呼ばれる行為についての記事。ヘイトに対しては「批判」するべきで、人格を攻めるような「非難」、ましてや暴力を伴うものであってはならないと伝えます。「根本的な解決策が見当たらない」としながらも、「それでもこの問題を伝えたい」という強い思いを感じた記事でした。

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「見えづらいひきこもり女性」 調査でこぼれ落ちる理由(石井志昂)

筆者による受賞コメント:「ひきこもりUX女子会」には、毎回、必死の思いで家から出てくる女性がいます。その一歩が社会を映す鏡になり、社会を変えていく一歩になっていることを、彼女たちに伝え、喜びを分かち合いたいと思います。受賞、ありがとうございました。

石井志昂

選出理由:国や自治体調査では見落とされがちな女性の引きこもりに焦点をあてた記事です。自助グループ「ひきこもりUX女子会」への取材や筆者の知見を活かして、課題の本質に迫ります。

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8月の月間MVC

『トヨタ、裁量労働拡大=「残業代」17万円分を保証』の記事へのオーサーコメント(上西充子)

筆者による受賞コメント:「働き方改革」一括法案においては、実際に働いた時間にかかわらず一定の時間働いたものとみなす「裁量労働制」の対象の拡大が盛り込まれようとしていますが、この裁量労働制は一定の法的要件を満たして初めて適用できるものです。にもかかわらず、あたかも労使合意だけで適用できるかのような報道がなされたことに、世論誘導的な怖さを感じました。私のコメントは、報道後すぐに複数の労働弁護士らがツイッターに書き込んだ指摘を踏まえたものです。ニュースのおかしさをすぐにヤフーの記事のコメント欄で指摘できる、そのような仕組みがあることが役立ちました。

上西充子

選出理由:トヨタ自動車の残業代に関する新制度について、「裁量労働の拡大」と報じたニュースに対し、裁量労働制の拡大ではなく、フレックスタイム制や固定残業代制などを組み合わせた制度であることを指摘。複数のメディアで同様の報道がされているとし、専門家の立場から不正確な報道について疑問を呈すことで読者や報道機関に注意を促す役割を果たしています。