Yahoo!ニュース

ダルビッシュ有らとともにパドレスのローテーションに並ぶ5人目は、絶滅危惧種のナックルボーラー

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ウォルドロン(サンディエゴ・パドレス)MAR 18, 2024(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 3月25日、サンディエゴ・パドレスのマイク・シールト監督は、28日以降の先発マウンドに上がる5人を発表した。ジ・アスレティックのデニス・リンらが報じている。

 それによると、3月28日と29日は、韓国の開幕シリーズと同じく、それぞれ、ダルビッシュ有ジョー・マスグローブが投げる。30日と31日は、ディラン・シースマイケル・キングだ。そして、4月1日は、マット・ウォルドロンが登板する。

 5人目の先発投手は、ジョニー・ブリトーランディ・バスケスだと予想していた。そのことは、今月中旬にこちらで書いた。

「パドレスのローテーションの過半数は「ソトのトレードで獲得」と「ソトのトレードで得た選手と交換に獲得」」

 ウォルドロンは、27歳の右投手だ。2019年のドラフトでクリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)から18巡目・全体550位指名を受け、翌年11月にパドレスへ移籍した。この年の夏、パドレスは6人をインディアンズに放出し、交換に3人を獲得した。そのうちの1人が、トレード成立の時点ではPTBNL(後日決定選手)だったウォルドロンだ。

 昨年6月、ウォルドロンは、スポットの先発投手としてメジャーデビューした。その後、7月と8月に2度ずつ昇格。7月の昇格時は、どちらも登板することなく、AAAへ戻された。シーズン全体では、先発6登板とリリーフ2登板の計41.1イニングで防御率4.35。AAAの92.1イニングは、防御率7.31だった。今春は、4登板の13.1イニングで防御率1.35を記録している。

 プロスペクトではなく、メジャーデビューは26歳と遅め。まだ、ブレイクもしていない。けれども、ここから、息の長いキャリアを築いていくかもしれない。パドレスに移籍後、ウォルドロンは、ナックルボーラーとなった。それまでの球種を封印したわけではないが、スタットキャストによると、昨年の投球は、ナックルボールが26.7%を占めた。他の球種は、シンカーが23.6%、4シームが20.5%、スウィーパーが16.0%、カッターは13.1%だ。

 スタットキャストは、昨年、ナックルボールを投げたのは4人としている。ウォルドロンの180球に対し、あとの3人は、いずれも5球以下だ。彼らのうち、アーニー・クレメント(トロント・ブルージェイズ)は内野手、ルーク・メイリー(シンシナティ・レッズ)は捕手。ジョージ・カービー(シアトル・マリナーズ)は先発投手だが、ナックルボールは、10月1日の2球しかない。そこには、追悼の思いが込められている。この日、ティム・ウェイクフィールドは、57歳で亡くなった。

 2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」において、1シーズンに500球以上のナックルボールは、ウェイクフィールド、R.A.ディッキースティーブン・ライトの3人しか記録していない。その最後は、2018年に719球のライトだ。2019~22年は、1シーズンに150球以上もいなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事