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開幕前の本塁打王とシーズン本塁打王は一致するのか。昨年のオルソンはどちらも最多の8本塁打と54本塁打

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)Feb 25, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、ナ・リーグの本塁打王となったマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)は、レギュラーシーズンに54本のホームランを打つ前に、スプリング・トレーニングのエキシビション・ゲームにおいて、こちらも全選手最多の8本塁打を記録した。

 ア・リーグの本塁打王、44本塁打の大谷翔平(当時ロサンゼルス・エンジェルス/現ロサンゼルス・ドジャース)は、エキシビション・ゲームでホームランを打つことなく、開幕を迎えた。

 過去15シーズン(2009~2023年)に本塁打王を獲得した延べ35人が、そのシーズンの開幕前と開幕後に記録したホームランの本数(ポストシーズンは含めず)は、以下のとおり。

筆者作成
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 35人の本塁打王のうち、開幕前に6本塁打以上は、2016年のノーラン・アレナード(当時コロラド・ロッキーズ/現セントルイス・カーディナルス)と昨年のオルソンしかいない。8年前のアレナードは、開幕前の6本塁打が4位タイ、開幕後の41本塁打はナ・リーグ1位タイ(両リーグ6位タイ)に位置した。

 開幕前に0本塁打で、レギュラーシーズンに本塁打王を獲得した選手も少ない。2014年に40本塁打のネルソン・クルーズと短縮シーズンの2020年に18本塁打のマーセル・オズーナ(ブレーブス)に、昨年の大谷だ。開幕前の3人を比べると、クルーズの39打数とオズーナの28打数に対し、大谷は11打数に過ぎなかった。レギュラーシーズンに大谷が記録した、ホームラン1本当たりの打数は11.3だ。WBCでは、23打数でホームランを1本打った。

 一方、2009年以降、各シーズンの開幕前に最も多くのホームランを打った選手は、以下のとおり。

筆者作成
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 延べ25人中、開幕前の最多本塁打に続き、レギュラーシーズンに本塁打王を獲得したのは、昨年のオルソンだけだ。2009年のライアン・ハワードは、開幕前の10本塁打が2位の2人と2本差で、開幕後の45本塁打は両リーグでもナ・リーグでもトップと2本差の3位。47本塁打のアルバート・プーホルスと46本塁打のプリンス・フィルダーに次いだ。

 オルソンの前に、開幕前も開幕後も最多のホームランは、2006年のハワードだ。開幕前の11本塁打だけでなく、開幕後の58本塁打も両リーグ最多。ハワードは、2006~09年に4シーズン続けて45本以上のホームランを打ち、2006年と2008年に本塁打王を獲得した。2008年の48本塁打も、2008年と同じく、両リーグで最も多かったが、開幕前の5本塁打は6位タイだった。

ライアン・ハワード Aug 27, 2008
ライアン・ハワード Aug 27, 2008写真:ロイター/アフロ

 なお、2012年の開幕前に7本塁打のマット・ヘイグは、開幕2試合目にメジャーデビューし、このシーズンは70打数でホームランはなし。2014~15年もメジャーリーグでプレーしたが、計14打数でホームランは打っていない。通算0本塁打だ。2016年は、阪神タイガースで出場31試合。104打数で2本塁打を記録した。現在は、トロント・ブルージェイズでアシスタント打撃コーチを務めている。

 2018年の開幕前に7本塁打のフランク・シュウィンデルは、2019年にメジャーデビューした。メジャーリーグで打ったホームランは、2021年の14本と2022年の8本。昨年は、オリックス・バファローズで20試合に出場し、69打数で1本塁打に終わった。

 今春、最も多くのホームランを打っているのは、7本塁打のカイル・スタウアース(ボルティモア・オリオールズ)だ。5本塁打の3人、オニール・クルーズ(ピッツバーグ・パイレーツ)、デビッド・ボーディー(シカゴ・カブス)、ワイアット・ラングフォード(テキサス・レンジャーズ)が、スタウアースに次ぐ。オルソンは1本塁打、大谷は2本塁打を記録している。スタウアースについては、こちらで書いた。

「通算3本塁打の選手が3打席連続ホームラン。最初の2本は前田健太から。開幕ロースター入りは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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