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夏の補強第1弾!? エンジェルスが「ポストシーズン6試合連続ホームラン」のベテランと契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニエル・マーフィー Aug 25, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月12日、ロサンゼルス・エンジェルスは、ダニエル・マーフィーと契約を交わした。ロング・アイランド・ダックスのマイケル・パフGMが、エンジェルスは(ダックスから)マーフィーの契約を買い取った、と報じている。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、これから、エンジェルス傘下のAAAでプレーするという。

 マーフィーは、38歳の内野手だ。メジャーリーグの試合に出場したのは、2020年が最後。翌年1月に引退を表明し、2021~22年はプレーしていなかったが、今年3月に独立リーグのダックスと契約。37試合に出場し、打率.331(142打数47安打)と出塁率.410を記録した。長打は12本。ホームランが2本、三塁打が1本、二塁打が9本だ。

 独立リーグの好成績に加え、マーフィーは実績もある。メジャーリーグで12シーズンを過ごし、ホームランは2016年の25本が最多ながら、35二塁打以上のシーズンは8度を数える。そのうちの3度、2012年と2016~17年は40本以上の二塁打を打ち、2016年は50二塁打まで3本に迫った。この年は、リーグ・ベストのOPS.985も記録している。

 また、2015年のポストシーズンでは、6試合続けてホームランを打った(「どこまで続く「ダニエル・マーフィー祭り」。ポストシーズン新記録の6試合連続ホームランだけじゃない!!」)。

 マーフィーは、二塁と一塁を主に守ってきた。エンジェルスでは、一塁手のジャレッド・ウォルシュが、21試合で打率.115(52打数6安打)と出塁率.115。ホームランはなく、長打は二塁打が3本だ。ウォルシュとマーフィーは、左打者という点も共通する。

 ただ、マーフィーの年齢とブランクからすると、すぐにウォルシュと入れ替わるとは考えにくい。そうなるとしても、ウォルシュの不振が今後も続き、マーフィーがAAAで好調だった場合だろう。AAAには、シーズン序盤に一塁を守っていたジェイク・ラムもいる。こちらも左打者。AAAでは22試合に出場し、長打はホームランと二塁打が2本ずつだが、打率.293(75打数22安打)と出塁率.436を記録している。

 穿った見方かもしれないが、マーフィーとの契約は、エンジェルスがこの夏に行う補強の方向性を示している気もする。トレード市場では、野手ではなく、投手を手に入れようとするということだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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