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千賀滉大の「奪三振率」はMLBで上がる!? フォークを決め球とした野茂英雄の場合…

宇根夏樹ベースボール・ライター
千賀滉大 AUGUST 7, 2021(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

 来シーズンから、千賀滉大は、日本プロ野球ではなくメジャーリーグのマウンドに上がる。まだ契約には至っていないものの、MLB.comのジョン・モロシやマーク・フェインサンドをはじめとする、これまでの報道を総合すると、千賀に興味を抱いている球団は二桁に上る。

 これまでの日本人メジャーリーガーのうち、メジャーデビュー前年とメジャーリーグ1年目(Mのどちらも100イニング以上を投げた投手は、野茂英雄から菊池雄星まで、12人を数える。

筆者作成
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 このなかで、メジャーリーグ1年目の防御率が前年よりも低かったのは、1995年の野茂だけだ。2008年に黒田博樹が記録した防御率3.73は、前年の3.56とそう変わらなかったが、他の10人はいずれも0.65以上高くなっている。

 一方、奪三振率は、上がった投手と下がった投手が6人ずつだ。2012年のダルビッシュ有(当時テキサス・レンジャーズ/現サンディエゴ・パドレス)は後者ながら、前年もメジャーリーグ1年目も奪三振率10.30以上だ。下がったというよりは、どちらも高い。

 2014年の田中将大(当時ニューヨーク・ヤンキース/現・東北楽天ゴールデンイーグルス)と2016年の前田健太(当時ロサンゼルス・ドジャース/現ミネソタ・ツインズ)が記録した奪三振率は、前年より1.50以上も高い。1995年の野茂も、前年と比べて+1.00以上だ。

 野茂と千賀は、どちらもフォークを決め球とする。メジャーデビュー前の5シーズンの奪三振率は、極めて近い。1990~94年の野茂が10.32、2018~22年の千賀は10.54。ちなみに、2007~11年のダルビッシュは9.53だった。野茂と千賀の奪三振率は、この5シーズンとも9.50以上で、そのうちの3シーズンが10.20以上という点も共通する。

 1995年に野茂が記録した奪三振率11.10は、この年のオールスター・ゲームで投げ合ったランディ・ジョンソンの12.35に次ぎ、ナ・リーグで規定投球回に達した投手のなかで最も高かった。その後、メジャーリーグ2年目から7年目までのシーズン奪三振率は、9.22(ナ2位)→10.11(ナ3位)→9.55(規定投球回未満/157.1イニング)→8.22(ナ4位)→8.57(ア3位)→10.00(ア1位)と推移した。

 なお、日本人メジャーリーガーが、メジャーリーグ1年目とその前年に記録した出塁率については、こちらで書いた。

「日本人選手がMLB1年目に記録した出塁率は、前年と比べてどれだけ上下したのか。吉田正尚は今年.447」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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