Yahoo!ニュース

プーホルスは引退するが、同じく42歳のスラッガーは現役続行の意思あり。最後にたどり着きたいのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ネルソン・クルーズ(ワシントン・ナショナルズ)Aug 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)とネルソン・クルーズ(ワシントン・ナショナルズ)は、どちらも42歳だ。1980年の1月16日と7月1日に、ドミニカ共和国で生まれた。今シーズン、メジャーリーグの試合に出場している選手のなかでは、最高齢と3番目。ちなみに、彼らの間にいるのは、3月11日が誕生日のリッチ・ヒル(ボストン・レッドソックス)だ。この3人以外は、1981年以降に生まれた。

 プーホルスは、今年のポストシーズンを最後に選手生活を終える。一方、クルーズは、来シーズンもプレーするつもりでいるようだ。ワシントン・ポストのジェシー・ドーガティが書いた記事によると、クルーズは、ワールドシリーズ優勝を味わいたいと語っているという。

 通算703本塁打のプーホルスは、2006年と2011年にワールドチャンピオンのメンバーになっている。一方、クルーズは、459本塁打を記録している――プーホルスと比べると少ないとはいえ、歴代39位に位置する――ものの、ワールドシリーズ優勝は皆無だ。2010~11年に2年続けてワールドシリーズに出場したが、クルーズのいたテキサス・レンジャーズは、それぞれ、サンフランシスコ・ジャイアンツとカーディナルスに敗れた。

 プーホルスとクルーズの明暗が分かれた格好となった、2011年のワールドシリーズは、立場が逆転していてもおかしくなかった。レンジャーズは、優勝まで1アウトに迫った。敗因の一つは、クルーズだったという見方もできる。それについては、「ポストシーズンのホームランを4チームで打った選手のうち、ワールドシリーズ優勝を経験していないのは…」で書いたとおりだ。

 今シーズン、クルーズは124試合に出場し、規定打席に到達しながら、ホームランはここ14シーズンで最少の10本にとどまっている。OPS.651も同様だ。キャリアにおいて、これよりもOPSが低かったシーズンは、出場41試合で.645の2006年しかない。

 今オフ、クルーズはFAとなる。来シーズンの契約は、1600万ドルの相互オプションだが、ナショナルズは解約金の300万ドルをクルーズに支払い、オプションを破棄するだろう。今シーズンの成績と年齢からすると、来秋のポストシーズンに進出できそうな球団と契約を交わすのは、難しいかもしれない。だが、不振のシーズンが続いているわけではなく、昨シーズンは32本塁打とOPS.832を記録している。来シーズン、ポストシーズンに進めそうもない球団で開幕を迎えたとしても、復活を遂げれば、夏のトレードで移籍し、ポストシーズンに出場するチャンスはあるはずだ。

 なお、5年前のオールスター・ゲームで、クルーズはこんな「名場面」も演出している。

「史上最多の5460試合に「出場」した審判にスポットライトが当たった日」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事