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エンジェルスがマッドン監督を解雇する。代行は30年前のドラフト全体1位

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(左)とフィル・ネビン May 25, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月7日、ロサンゼルス・エンジェルスは、ジョー・マッドン監督を解雇した。マッドンは、2020年からエンジェルスで采配を振っていた。2シーズン続けて負け越し、今シーズンは、5月15日までに24勝13敗を記録したが、そこから3勝16敗。現在の連敗は12に達し、まだ止まっていない。数日前に「低迷チームが「監督を解雇」後に○○○。この劇薬はエンジェルスにも効く!?」で書いたことが、早くも現実となった。

 選手時代のマッドンは、エンジェルスのマイナーリーグで捕手としてプレーし、メジャーデビューできないまま、キャリアを終えた。そこから、エンジェルスでマイナーリーグの監督やメジャーリーグのコーチなどを務めた後、2006~14年はタンパベイ・デビルレイズ/レイズ、2015~19年はシカゴ・カブスで指揮を執った。

 マッドン監督の下で、レイズは2008年に球団初のシーズン勝ち越しとリーグ優勝を果たし、カブスは2016年に「山羊の呪い」を解いた。マッドンは、2008年と2011年、2015年に、リーグの最優秀監督に選ばれている。だが、古巣のエンジェルスに栄光をもたらすことはできなかった。

 ここからは、三塁コーチだったフィル・ネビンが、マッドンに代わって指揮を執る。ネビンは、1992年のドラフトでヒューストン・アストロズから全体1位指名を受けた。1995年から2006年まで、サンディエゴ・パドレスなど7チームでプレーし、三塁と一塁を主に守り、通算208本のホームランを打った。

 メジャーリーグの監督経験はないが、2010~16年に、デトロイト・タイガースとアリゾナ・ダイヤモンドバックスのマイナーリーグで采配を振っている。その後、サンフランシスコ・ジャイアンツとニューヨーク・ヤンキースの三塁コーチを経て、今シーズンからエンジェルスのユニフォームを着ている。1998年にエンジェルスでプレーしているので、在籍は今回が2度目だ。

 なお、ドラフト全体1位の選手がメジャーリーグで監督を務めるのは、ネビンが史上初となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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