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低迷チームが「監督を解雇」後に○○○。この劇薬はエンジェルスにも効く!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライソン・スタール(中央)とジミー・ハーゲット(左)Jun 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フィラデルフィア・フィリーズは、2020年から監督を務めていたジョー・ジラルディを、6月3日に解雇した。

 今シーズン、5月14日の時点で17勝17敗だったフィリーズは、その後の17試合で5勝しか挙げられなかった。ジラルディが最後に采配を振った6月1日は白星ながら、直前の5月27日~31日には、シーズン最長の5連敗を喫した。

 ベンチ・コーチのロブ・トムソンが監督代行となってから、フィリーズは3試合続けて勝利を収めた。サンプル数はまだ少なく、この3試合の相手は連敗中のロサンゼルス・エンジェルスながら、今のところ、軌道修正はうまくいっている。

 2007~11年の地区5連覇を最後に、フィリーズは10年間、ポストシーズンから遠ざかっている。昨オフは、どちらもスラッガーのカイル・シュワーバーニック・カステヤノスをチームに迎え入れた(「打ちまくればそれでいい!? この球団は守備に難のある外野手2人と契約。DHは1枠しかないが…」)。

 一方、フィリーズにスウィープされたエンジェルスは、7年続けてポストシーズン進出を逃している。こちらは、昨オフ、ローテーションにノア・シンダーガードマイケル・ロレンゼン、ブルペンにはエアロン・ループライアン・タペーラアーチー・ブラッドリーを加えた。

 ポストシーズンから遠ざかっているチームを、ブランクの長い順に並べると、20年間のシアトル・マリナーズ、10年間のフィリーズ、7年間のエンジェルスとデトロイト・タイガースとなる。

 フィリーズと同じく、エンジェルスも、5月半ばから負けが込んでいる。5月15日までは24勝13敗、5月16日以降は3勝15敗だ。シーズン全体では、貯金11から借金1に転じた。直近の18試合は、4連敗→3連勝→11連敗。現在継続中の連敗は、球団最長に迫りつつある(「エンジェルスが球団史上9度目の10連敗。最も長い連敗まで、あといくつ!?」)。

 11連敗となった6月5日は、5回表を終えた時点で5対0、8回表を終えた時点で6対2、9回表を終えた時点で7対6とリードしながら、勝てなかった。8回裏に登板したループは、エラーも絡み、4人に投げて1アウトしか取れずに降板。代わったライセル・イグレシアスは、2死満塁からブライス・ハーパーに同点となる満塁本塁打を打たれた。9回裏は、2死一、二塁の場面でイグレシアスからマウンドを引き継いだジミー・ハーゲットが、ブライソン・スタールにサヨナラ本塁打を喫した。

 結果論にはなるものの、イグレシアスとハーゲットが逆の順番で登板していれば、結末は違っていたかもしれない。イグレシアスがハーパーに打たれたホームランは、シンシナティ・レッズ時代の2018年に喫した2本に続き、これが3本目だ。イグレシアスから2本塁打以上の打者は、ハーパー以外にいない。

 まだ、そういう声は聞こえてこないが、このまま沈んでいくようだと、ジョー・マッドン監督の解雇も現実味を帯びてくるだろう。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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