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先月ノーヒッターの投手が不正物質の使用で退場となる。浮上の兆しが見えてきたチームに暗雲!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロネル・ブランコ(ヒューストン・アストロズ)May 14, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月14日、ロネル・ブランコ(ヒューストン・アストロズ)は、最初の3イニングを無失点で終わらせた。だが、4回表が始まる前に、退場処分を受けた。グラブに不正物質が付着していた、ということらしい。

 ブランコは、ジャスティン・バーランダーらの出遅れに伴い、開幕ローテーションに入り、シーズン初登板の4月1日にノーヒッターを達成した。それについては、こちらで書いた。

「チームにシーズン初勝利をもたらすノーヒッターは4人目。23年前の野茂英雄もその一人」

 続く2登板目は、6イニング無失点。その後の5登板も、少なくとも5.2イニングを投げ、失点はいずれも3以下だった。7登板の防御率は2.23。5月14日の3イニング無失点により、シーズン防御率は2.09まで下がった。

 年齢は30歳ながら、今シーズンはメジャーリーグ3年目だ。過去2シーズンは、リリーフ17登板と先発7登板の計58.1イニングで防御率4.78を記録していた。

 ブランコが退場となった後、リリーバーたちが1失点にとどめ、アストロズは、10回裏に2対1でサヨナラ勝ちを収めた。5月9日~14日の直近6試合は、1敗しか喫していない。2連勝→●→3連勝、と推移している。

 けれども、シーズン全体では17勝25敗。借金8を抱え、ア・リーグ西地区の4位に位置している。ここから、ブランコは、10試合の出場停止となるだろう。ブランコの不在は、アストロズの浮上に水を差すことになりかねない。夏を迎えても低迷していた場合、トレード市場で売り手に回り、バーランダーやアレックス・ブレグマンを放出することもあり得る。

 なお、2017年以降、アストロズは、ポストシーズン進出を逃していない。この7度のポストシーズンにおいて、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ進めなかったことも、皆無だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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