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この選手がホームランを2本打つと、チームは勝てない。ここまで6試合とも黒星

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・サンタンダーとチームメイト May 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月19日、アンソニー・サンタンダー(ボルティモア・オリオールズ)は、3本の長打を打った。1打席目と2打席が二塁打、5打席目はホームランだ。最後の1本は、同点の9回裏。オリオールズは、9対6で勝利を収めた。上の写真は、ホームインの直前だ。

 ただ、この試合と違い、サンタンダーが2本のホームランを打った試合は、いずれも勝利につながっていない。今シーズンの5月16日を含め、サンタンダーの1試合2本塁打は通算6度を数えるが、それらの試合でオリオールズは0勝6敗だ。

筆者作成
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 ESPNスタッツ&インフォによると、最初のマルチ本塁打から6度目まで、すべてチームが敗れたのは、サンタンダーが史上初だという。

 これは、サンタンダーにツキがないというよりも、オリオールズが原因だろう。そのことは、スコアの推移からも窺える。6試合とも、サンタンダーの1本目と2本目のホームランの間に、オリオールズは少なくとも2点を取られている。例えば、直近の6度目は、1本目を打った時点で1対4、2本目を打つ直前は1対6なので、2失点だ。

 オリオールズが勝ち越したシーズンは、2016年(89勝73敗/勝率.549)が最後。2018年以降は、勝率.400以上すら、短縮シーズンの2020年(25勝35敗/勝率.417)しかない。今シーズンも、開幕3連敗を喫し、その後も常に借金を抱えている。5月19日を終えた時点の借金は9だ(前日の借金は10だった)。メジャーデビューが2017年のサンタンダーは、シーズン勝ち越しを経験したことがない。

 1試合2本塁打にとどまらず、3本目や4本目も打てば、サンタンダーは、マルチ本塁打の「連敗」に終止符を打つことができるかもしれない。もっとも、史上最多の1試合4本塁打でも、その試合の勝率は100%ではない。

 1986年7月6日、アトランタ・ブレーブスのボブ・ホーナーは、最初の3打席に続き、最後の5打席目もホームランを打った。にもかかわらず、ブレーブスは、8対11で敗れた。

 ちなみに、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)のマルチ本塁打は、通算8度だ。こちらも、すべて1試合2本。エンジェルスが敗れたのは、その3度目と5度目の2試合しかない。なお、2019年以降のホームランは、サンタンダーが56本、大谷は79本だが、マルチ本塁打はどちらも6度だ。

 サンタンダーについては、2019年にこちらでも書いた。

「これほど多くのスカウトから熱い視線を浴びた選手はいなかった!? その人数は何と…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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