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トム・ブレイディの「ドラフト同期」には殿堂選手や日本でプレーした選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
トム・ブレイディ February 1, 2015(写真:ロイター/アフロ)

 今月、トム・ブレイディは、インスタグラムで引退を表明した。将来の殿堂入りは間違いなく、スポーティング・ニューズのビニー・アイヤーは「プロ・フットボールの殿堂に2度選出されるNFLの選手がいるとすれば、ブレイディしかあり得ない」と書いている。

 だが、もしかすると、ブレイディが入るのは、違う殿堂だったかもしれない。今から27年前、1995年のドラフトで、ブレイディはモントリオール・エクスポズから18巡目・全体507位指名を受けた。エクスポズは、MLBの球団だ。当時は、カナダのモントリオールに本拠を構えていた。現在のワシントン・ナショナルズだ。左打ちの捕手だったブレイディは、エクスポズには入団せず、ミシガン大へ進んだ。

 1995年のドラフトで指名された選手は、全体1位のダリン・アースタッドを筆頭に、1666人を数える。そのなかには、ロイ・ハラデイ(全体17位)やトッド・ヘルトン(全体8位)、ケリー・ウッド(全体4位)もいた。

 サイ・ヤング賞2度のハラデイは、殿堂入りしている。2019年に、最初の記者投票で85.4%の票を得た(得票率75%以上=殿堂入り)。通算2519安打と369本塁打を記録したヘルトンも、そうなる可能性はある。4度目だった今年の投票では、得票率52.0%を記録した。

 現在はサンフランシスコ・ジャイアンツで監督を務めるゲーブ・キャプラーも、1995年のドラフトで指名されている。順位はブレイディよりもかなり低く、57巡目・全体1488位だ。キャプラーは、1998~2006年と2008~10年にメジャーリーグでプレーしただけでなく、2005年は読売ジャイアンツでも38試合に出場した。

 ブレイディと同じ18巡目に指名された選手では、スティーブ・ランドルフが2009~10年に横浜ベイスターズで計24試合に投げた(メジャーリーグでは、2003~04年と2007年に計109登板)。ランドルフの順位は、全体506位。ブレイディの直前に指名された。

 キャプラーとランドルフの他にも、日本プロ野球でプレーした選手はいる。例えば、2002年に横浜で9登板のジェイソン・ターマンは、こちらもエクスポズに指名された。順位はブレイディより上。11巡目・全体311位だ。ただ、メジャーデビューはできなかった。

 なお、この年にエクスポズが指名した捕手は、ブレイディが2人目だった。5巡目・全体143位のブライアン・シュナイダーは、2000年代にエクスポズ/ナショナルズの正捕手を務めた。ブレイディがエクスポズに入団していた場合、シュナイダーを凌ぐことができたかどうかは、定かではない。

 ブレイディについては、2年前の移籍時に、こちらでも書いた。

「ペイトリオッツを退団後、ブレイディはベースボールの球団からも誘われていた」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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