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「シーズン出塁率」の歴代トップ20。半数は王貞治だが、現役選手も2人ランクイン

宇根夏樹ベースボール・ライター
柳田悠岐 AUGUST 7, 2021(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 1950年以降のシーズン出塁率トップ20は、その半数を王貞治が占める。1~5位、9~12位、15位がそうだ。かつて、MLBの公式サイトに存在した「チャップマン・フィルター」のように――それについては「チャップマンは「最速」から「最強」へ進化するのか」で書いた――王を除くと、ちょうど10人が残る。異次元の王を別枠として、他の選手を並べ、トップ10としてもいいかもしれない。

 この出塁率は、現行の計算方法、「(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」による数値だ。1950~53年は犠飛(犠牲フライ)の本数が不明だが、0本として計算しても、トップ20にランクインする選手は見当たらなかった。

筆者作成
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 延べ20人のいずれも、そのシーズンのホームランは30本を超えている。1~2位と6~8位に位置する、1974年と1973年の王、1986年と1985年の落合博満、1986年のランディ・バースは、三冠王だ。ちなみに、1950年以降の他の三冠王、1965年の野村克也、1982年の落合、1984年のブーマー・ウェルズ、1985年のバース、2004年の松中信彦の5人中、出塁率.400未満は野村(.397)だけ。あとの4人は出塁率.420以上を記録している。なかでも、松中の出塁率は.464と高かった。

 また、ランクインした現役選手2人のうち、2015年に出塁率.469の柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)は、「吉田正尚と近藤健介は「5年連続の出塁率4割以上」にリーチ。達成者は7人。王貞治とイチローと…」でも書いたとおり、出塁率.400以上を6度記録している。2018年に出塁率.468の丸佳浩(当時・広島東洋カープ/現・読売ジャイアンツ)は、他に1度。2014年の出塁率が.419だった。読売へ移ってからの出塁率は.388→.375→.365だ。四球率は13.6%→12.8%→13.8%だが、打率が.292→.284→.265。ホームランは27本→27本→23本で、打数/本塁打は19.8→15.7→17.0だ。

 この2人以外に、出塁率.460以上のシーズンがある現役選手は、近藤健介(北海道日本ハム・ファイターズ)しかいない。今から2年前に、出塁率.465を記録した。それについては「近藤健介の出塁率.465は、歴代のなかでもかなり異質。10本塁打未満で出塁率.450以上は」で書いた。

 なお、打率.300未満のシーズンに出塁率が最も高かったのは、こちらも王だ。打率.285――と当時の王にしては少ない33本塁打――の1975年に、出塁率.451を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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