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近藤健介の出塁率.465は、歴代のなかでもかなり異質。10本塁打未満で出塁率.450以上は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
近藤健介(左)とスティーブン・ピスコッティ Mar 17, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンのパ・リーグには、出塁率.450以上を記録した選手が2人いた。.465の近藤健介(北海道日本ハムファイターズ)と.453の吉田正尚(オリックス・バファローズ)だ。1985年以降、シーズン出塁率.450以上の選手は延べ22人を数え、近藤は11位、吉田は20位に位置する。

筆者作成
筆者作成

 順位はさておき、近藤のスタッツは、この22人のなかでかなり異質だ。他の21人はいずれも二桁のホームランを打っているのに対し、近藤は5本に過ぎない。次いで少ない2000年のイチロー(出塁率.460)でも12本なので、近藤はその半数にも届かない。しかも、近藤を除く、20本塁打未満&出塁率.450以上の4人は、いずれもその前年に20本以上のホームランを打っている。例えば、吉田の場合、2019年のホームランは29本だった。一方、2019年の近藤は2本。それまでも二桁に達したシーズンはなく、2018年の9本がキャリアハイだ。

 1950~84年にシーズン出塁率.450以上を記録した選手にも、ホームランが一桁はいなかった。こちらは、現行の算出方法に当てはめると延べ20人。王貞治がその過半数を占める。8シーズン連続(1963~70年)と5シーズン連続(1973~77年)の計13シーズンだ。そのうち、1973~74年はどちらも出塁率.500以上。.500と.532を記録した。なお、1980年の山本浩二を出塁率.451としているところもあるが、これは分母に7本の犠牲フライを入れていないと思われる。犠牲フライを入れて計算すると、出塁率は.445となる。それでも高いことに変わりはないが、今回の対象からは外した。ちなみに、この年の山本は44本のホームランを打った。

 また、今シーズンの近藤は、すぐ後ろの打順に中田翔がいることもあり、敬遠四球は3度だった。こちらも、シーズン出塁率.450以上の選手では、1950~84年の20人を含め、誰よりも少なかった。

 一方、吉田の三振率5.9%は、1985年以降の22人中、最も低かった。

 パ・リーグの出塁率トップ2は、2019年も同じ2人だった。近藤が.422、吉田は.413を記録した。2018年は.431の柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)――今シーズンは.449で3位――に次ぎ、.427の近藤と.403の吉田が2位と3位に位置した。

 出塁率の算出方法などについては、こちらで書いた。

打率よりも低い出塁率。そんなことってあり得る??

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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