移籍前は「防御率1点台」の投手が、新天地では「防御率9点台」。1ヵ月経たずにロースターから外される
6月7日、ロサンゼルス・エンジェルスは、リリーフ投手のハンター・ストリックランドを40人ロースターから外した(DFA)。
エンジェルスがタンパベイ・レイズからストリックランドを獲得したのは、5月15日だ。その時に「防御率1点台のリリーフ投手が移籍。エンジェルスが獲得した理由はわかるが、レイズはなぜ放出したのか」で書いたとおり、トレード前のストリックランドは、13登板で計16.0イニングを投げ、防御率1.69を記録していた。
ところが、エンジェルスへ移ってからは、9登板の計6.1イニングで自責点7(失点9)。防御率は9.95だ。大量失点の1登板が防御率を悪化させている――他の登板は抑えている――のではなく、9登板中5登板で自責点がついた(失点は6登板)。被安打ゼロの登板は皆無。こちらも、9登板中5登板で長打を打たれた。
移籍の前後とも、登板とイニングはそう多くなく、どちらか一方が本当の投球とは言いきれない。
エンジェルスとしても、移籍前の防御率1点台がそのまま続くとは思っていなかったはずだ。現在のストリックランドは、かつてのようなハードボーラーではない。スタットキャストによると、4シームのシーズン平均球速は、2016年までが97.5マイル以上、2017~20年は95マイル台、2021年は94.7マイルだ。
ただ、これほどの落差は誤算だろう。
エンジェルスは、ジェームズ・ホイトを昇格させ、ストリックランドと入れ替えた。こちらは、5月上旬の2登板とも無失点ながら、どちらも2人を出塁させた。その後はAAAで10試合に登板し、計10.1イニングで自責点15(失点15)。防御率は13.06だ。無失点の7登板に対し、失点の3登板はいずれも4点以上を取られている。シンカーとスライダーでゴロを打たせるのが持ち味だが、球威はなく、一歩間違えるとハードヒットされやすい。ちなみに、ストリックランドは32歳、ホイトは34歳だ。
マイナーリーグ・オプションが切れているストリックランドは、ウェーバーにかかる。この期間中に他球団から獲得の申し出がなければ、ストリックランドは、FAと降格のどちらかを選ぶ。後者の場合、エンジェルスはそのまま保有するかもしれないが、ストリックランドを解雇することもあり得る。