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9回裏2死からのホームランによりノーヒッターが途切れる。打ったのはシーズン0本塁打だった選手

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス/捕手はトラビス・ダーノー May 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月11日、アトランタ・ブレーブスは、ノーヒッターまであと1アウトに迫った。

 7イニングを投げて与四球3と被安打0本のマックス・フリードに続き、8回裏に登板したジョー・ヒメネスも、四球で2人を出塁させたものの、ヒットは打たれなかった。9回裏のマウンドには、ライセル・イグレシアスが上がり、最初の打者2人をアウトに仕留めた。

 だが、3人目のJ.D.マルティネス(ニューヨーク・メッツ)に、ホームランを打たれた。

 そこから、イグレシアスは、四球を与えてヒットを打たれ、ホームランが出れば同点の場面を招いた後、6人目の打者をセンター・フライに討ち取り、試合を終わらせた。

 9回2死からのホームランでノーヒッターが途切れたのは、見落としがなければ、1998年9月27日以来だ。この試合は、継投ではなく、先発投手のロイ・ハラデイボビー・ヒギンソンにホームランを打たれた。

 当時のハラデイは、メジャーリーグ1年目。9月20日にデビューし、この試合は2登板目だった。2010年には、ノーヒッターを2度達成している。1度目はパーフェクト・ゲーム(完全試合)、2度目はディビジョン・シリーズの第1戦だ。

 J.Dは、このホームランがシーズン1本目だが、通算では316本目。昨シーズンは、ロサンゼルス・ドジャースで33本のホームランを打った。

 今シーズンも、1ヵ月以上にわたってホームランがなかったわけではない。初出場は4月26日、5月11日は14試合目だ。3月下旬にメッツと1年1200万ドルの契約を交わし、4月上旬にシーズンをスタートさせる予定だったが、腰を痛めて遅れが生じた。

 ホームランを打つ前の打席では、センター・オーバーとなりそうな打球を飛ばしていた。

 なお、J.D.がホームランを打ち、昨シーズンに30本塁打以上の29人中、今シーズンのホームランが出てないのは、スペンサー・トーケルソン(デトロイト・タイガース)だけとなった。昨シーズンの31本塁打に対し、今シーズンのホームランはここまで皆無ながら、トーケルソンは、13本の二塁打を打っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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