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25盗塁に到達し、シーズンはまだ4分の1未満。赤いスピードスターは100盗塁を超えるペース

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)May 9, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月10日、エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)は、1回表の二盗に続き、3回表に三盗を決め、シーズン25盗塁に到達した。

 1試合2盗塁以上は、今シーズン7度目。5月8日からは、3試合続けて2盗塁を記録している。25盗塁に対し、盗塁死は4度。盗塁成功率は86.2%だ。メジャーリーグ1年目の昨シーズンは、35盗塁と8盗塁死、成功率は81.4%だった。

 昨シーズンから導入されたルール(「新ルールは6年ぶりに「50盗塁以上のスピードスター」を生むのか。過去5年のシーズン最多は47盗塁」)により、メジャーリーグ全体の盗塁は、劇的に増加した。とはいえ、今シーズン、デラクルーズに次いで多いのは、16盗塁のブライス・トゥラング(ミルウォーキー・ブルワーズ)だ。2人の間には、9盗塁の差がある。

 2024年のレギュラーシーズンは、まだ4分1に達していない。レッズは、開幕から38試合を終えたところだ。

 ナ・リーグとア・リーグにおいて、シーズン100盗塁以上は、7人が計13度記録している。19世紀に3人と、20世紀に4人だ。

筆者作成
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 現時点で最後のシーズン100盗塁以上は、1987年に109盗塁のビンス・コールマン――1985年のメジャーデビューから3シーズン連続100盗塁以上――だ。シーズン80盗塁以上も、1988年に93盗塁のリッキー・ヘンダーソンと81盗塁のコールマンを最後に途絶えている。

 今世紀に入ってから、シーズン70盗塁以上は4人だ。2004年に70盗塁のスコット・ポセドニック、2007年に78盗塁のホゼ・レイエス、2009年に70盗塁のジャコビー・エルズベリーに、昨シーズン、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)が73盗塁を記録した。

 また、今シーズン、デラクルーズは、8本のホームランを打っている。イライアス・スポーツ・ビューローによると、1900年以降、チームが開幕から38試合を終えた時点で8本塁打以上&25盗塁以上は、デラクルーズが初めてだという。

 昨シーズンのアクーニャJr.は、38試合の時点で7本塁打と15盗塁だった。そこから、34本塁打と58盗塁を積み上げ、史上初の40-70を達成した。

 なお、40-80だけでなく、30-80の達成者も皆無だ。20-80は延べ3人。リッキーは、1985~86年に、それぞれ、24本塁打と80盗塁、28本塁打と87盗塁を記録した。あとの1人は、1986年のエリック・デービスがそう。こちらは、27本塁打と80盗塁だ。

 当時のデービスと現在のデラクルーズは、レッズの背番号「44」という点が共通する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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