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昨年のドラフト全体1位が初登板で101.9マイルの速球を投げ、先発投手の球団記録を塗り替える

宇根夏樹ベースボール・ライター
ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)May 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月11日、ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)は、初めてメジャーリーグのマウンドに上がり、4.0イニングを投げて自責点3――5回表に無死一、二塁で降板した時点の自責点は1――ながら、7三振を奪った。

 スタットキャストによると、100マイル(約160.9km)以上は17球を数えた。最も速かった101.9マイル(約164.0km)の4シームは、2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」における、パイレーツの先発投手による最速記録を塗り替えた。

 それまでは、2013年6月21日にゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)が投げた、101.7マイル(約163.7km)の4シームが最速だった。

 コールとスキーンズのドラフト順位は、どちらも全体1位だ。パイレーツは、これまでに4人の投手を全体1位で指名している。1996年のクリス・ベンソンと2002年のブライアン・バリントンに、2011年のコールと2023年のスキーンズがそうだ。

 ベンソンは、パイレーツ以外も含め、シーズン160イニング以上が5度ながら、防御率が3.80を下回ったことはなかった。防御率4.00未満も1度だけ。メジャーリーグ2年目の2000年に、パイレーツで217.2イニングを投げ、防御率3.85を記録した。

 バリントンは、5シーズンとも45イニング未満。その後、2011~14年に広島東洋カープ、2015年はオリックス・バファローズで投げた。

 一方、コールのシーズン180イニング以上は7度を数え、それらのうち、防御率4.00以上は1度きり。過半数の4度は、防御率3.00を下回った。メジャーリーグ3年目の2015年は、パイレーツで208.0イニングを投げ、防御率2.60。サイ・ヤング賞の投票で4位にランクインした。パイレーツを去った2018年以降は、6シーズンともサイ・ヤング賞の投票でポイントを得て、2023年は満票で選出された。

 スキーンズがコールのようなキャリアを築くことができるかどうかは、まだわからない。ただ、ベンソンとバリントンとは、明らかに違うタイプの投手だ。この2人は、ハード・ボーラーではなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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