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元・北海道日本ハムの投手が「不運」なサヨナラ負けを喫する

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・バス(マイアミ・マーリンズ)Apr 8, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月8日、ニューヨーク・メッツは、今シーズンのホーム・オープナーをサヨナラ勝ちで飾った。9回裏の1死満塁から、死球によって決勝点を挙げた。

 当てられたのは、マイケル・コンフォート。当てたのは、マイアミ・マーリンズのアンソニー・バス。今から5年前、北海道日本ハムファイターズで投げていた投手だ。当時の登録名は「バース」だった。

マイケル・コンフォート(左)とアンソニー・バス Apr 8, 2021
マイケル・コンフォート(左)とアンソニー・バス Apr 8, 2021写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 カウント1-2から、バスが投げたスライダーは、コンフォートの右肘を掠め、捕手のミットに収まった。実際に当たったのかどうかは微妙なところだが、レビュー後も判定は変わらなかった。

 ただ、この投球は、ストライクゾーンを通過したように見えた。であれば、当たっていたとしても、死球ではなく三振となる。球審のロン・カルパは、右腕を後ろに引いてストライクをコールしかけた後、右手で左の肘を叩いて死球であることを示した。

 ニューヨーク・ポストのマイケル・ブリンやESPNのデビッド・ショーエンフィールドによると、カルパは試合後に「ストライクゾーンの死球だった。アウトと判定すべきだった」と語り、誤審を認めたという。ちなみに、ストライクかボールかの判定は、レビューの対象ではない。

 もっとも、バスの「不運」は、自身がそれを招き寄せたという見方もできる。9回裏のマウンドに上がった時、マーリンズは2対1とリードしていた。バスは、最初の打者にホームランを打たれ、さらに、1死からのシングル・ヒットと二塁打、敬遠四球で満塁に。バスに黒星がついたのはその後だが、セーブ失敗が記録されたのは、ホームランによって同点に追いつかれた時点だ。

 1月に2年500万ドルでマーリンズに入団し、バスはクローザーとして開幕を迎えた。だが、1登板目の1イニング4失点に続き、3登板で早くも2度目のセーブ失敗だ(黒星も2つ)。ここまでのセーブ成功率は0%。2登板目は3人ともアウトに仕留め、試合を終わらせたが、登板時に5点リードしていたのでセーブ機会ではなかった。

 シーズン初セーブを挙げる前に、クローザー交代となりかねない。

 なお、NPBでプレーしたことのある選手のリストは、こちら。

MLBの開幕ロースターに入った「日本プロ野球の経験者」。4人は5年前に北海道日本ハムでチームメイト

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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