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エースをトレードで放出し、有原航平と契約したレンジャーズの思惑

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランス・リン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 テキサス・レンジャーズが、有原航平と契約した。MLB.comのTJ・サリバンによると、2021年の年俸は260万ドル、2022年は360万ドル。レンジャーズが北海道日本ハムファイターズに払うポスティング料は、124万ドルだ(2年620万ドルの20%)。それに加え、ジ・アスレティックのレビ・ウィーバーは、年5万ドルの出来高がつくと報じている。

 一方、レンジャーズは12月上旬に、ランス・リンをシカゴ・ホワイトソックスへ放出し、交換に若手の2投手を得ている。今年8月にメジャーデビューしたデイン・ダニングと、昨年のドラフトでホワイトソックスが6巡目に指名したエイブリー・ウィームスだ。

 リンは1年後にFAとなるが、レンジャーズが2021年を「マスト・ウィン」、勝ちにいくシーズンと位置づけているのであれば、手放すことはなかったはずだ。2020年のリンは、レンジャーズのエースだった。13先発と84.0イニングはリーグで最も多く、防御率3.32は10位に位置した。8月末にオークランド・アスレティックスへ移籍したマイク・マイナー(現カンザスシティ・ロイヤルズ)を含め、2020年のレンジャーズで7試合以上に先発した5投手のなかに、防御率5.00未満はリンしかいなかった。

 来シーズンの有原に対し、レンジャーズが何よりも望んでいるのは、イニング・イーターとしての役割だろう。

 有原が加わっても、そして、2019年のような好成績を残しても、レンジャーズの先発投手陣は強力とは言い難い。カイル・ギブソンジョーダン・ライルズは、ここ2シーズンとも防御率4.00以上。ローテーションの4~5番手を争うであろう4人は、いずれもトップ・プロスペクトではなく、実績も乏しい。コルビー・アラードは2018~20年にメジャーリーグで投げているが、いずれのシーズンも50イニング未満。他3人のメジャーデビューは2020年だ。ここから、レンジャーズがベテランと契約する可能性は皆無ではないものの、大枚を投じて大物を手に入れるとは考えにくい。

筆者作成
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 なお、過去にレンジャーズで投げた日本人投手は、こちら。

有原航平の前に、レンジャーズで投げた日本人投手たち。ダルビッシュ有以外はリリーフとして登板

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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