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昨年のAAAで36本塁打以上の3人中、1人はブレイク目前、1人は日本プロ野球へ。あと1人は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャレッド・ウォルシュ(ロサンゼルス・エンジェルス)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2019年のパシフィックコースト・リーグ(AAA)には、36本以上のホームランを打った選手が3人いた。リノ・エーシズのケビン・クロンが38本、ラスベガス・アビエイターズのセス・ブラウンが37本、ソルトレイク・ビーズのジャレッド・ウォルシュは36本だ。クロンは右打者、2人は左打者という違いはあるものの、3人とも年齢は近く、1992年7月~翌年7月の間に生まれた。いずれも、2019年は主に一塁を守り、揃ってメジャーデビューも果たした。

 パシフィックコースト・リーグは、打者有利なリーグだ。彼らを含め、2019年に30本塁打以上を記録した選手は15人を数える。それに対し、同じAAAのインターナショナル・リーグには3人しかいなかった。とはいえ、この3人がパシフィックコースト・リーグの本塁打トップ3だったことは事実だ。

 彼らのうち、クロンは、2019年にエーシズからアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ4度昇格し、6本のホームランを打った。だが、2020年は出場8試合の17打数0安打に終わり――マイナーリーグのシーズンは開催されなかった――オフに広島東洋カープへ入団した。

ケビン・クロン
ケビン・クロン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 一方、ウォルシュは、ロサンゼルス・エンジェルスで2年続けて30試合以上に出場。2019年のホームランは1本ながら、2020年は二桁まであと1本に迫った。8月を終えた時点では13打数0安打だったが、9月は22試合で29安打を記録し、その過半数が長打(二塁打4本、三塁打2本、本塁打9本)。月間最優秀新人に選ばれた。どうやら、スウィングを始める際の腕の動きを減らしたことが功を奏し、メジャーリーグでもパワーを発揮できるようになったようだ。9月21日には、450フィートのグランドスラムを打った。

筆者作成
筆者作成

 昨年6月に「エンジェルスに「二刀流選手」が8人揃う!? 大谷翔平とウォルシュと……」で書いたように、昨シーズンまでのウォルシュは、左投手でもあった。2019年はメジャーリーグでも5試合に投げ、計5イニングを1失点に抑えている。ただ、奪三振5に対し、6人に四球を与えた。来シーズンは登板することなく、レギュラーとして一塁を守る可能性が高い。その場合、アルバート・プーホルスの役割は、大谷翔平が登板する日のDHに、対左腕のDHと代打となる。

 残る1人のブラウンは、現在もオークランド・アスレティックスに在籍している。アスレティックスの一塁には、ブラウンより若く、パワーと好守を兼ね備えたマット・オルソンがいるので、チャンスがあるのはDHか外野だろう。あるいは、クロンのように他球団へ移った方が出場機会を得られそうだが、今のところ、トレードの噂は聞こえてこない。

セス・ブラウン
セス・ブラウン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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