「規定投球回未満で最多勝」は石川柊太が3人目。「最多勝3人」と「チームメイトが最多勝」はともに4度目
今シーズンのパ・リーグは、3投手が最多勝のタイトルを手にした。福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大と石川柊太、東北楽天ゴールデンイーグルスの涌井秀章が、いずれもリーグ最多の11勝を挙げた。
2リーグ制となった1950年以降、複数の投手が最多勝のタイトルを分け合うのは26度目だ。そのうち、3人が最多勝――4人以上はない――は4度目。1988年のパ・リーグは、日本ハムファイターズの西崎幸広と松浦宏明、西武ライオンズの渡辺久信が15勝で並び、1993年のセ・リーグは、中日ドラゴンズの山本昌広と今中慎二、横浜ベイスターズの野村弘樹が17勝ずつ。1998年のパ・リーグは、千葉ロッテマリーンズの黒木知宏、西武の西口文也、福岡ダイエーホークスの武田一浩がそれぞれ13勝を記録した。
最多勝の2人とも、あるいは3人中2人がチームメイトも、1988年のパ・リーグと1993年のセ・リーグ、1996年のセ・リーグに続く4度目だ(1950年以降)。1996年のセ・リーグは、読売ジャイアンツの斎藤雅樹とバルビーノ・ガルベスが16勝でタイトルを分け合った。ちなみに、1988年の日本ハムは、最多勝投手が2人いながら、62勝65敗3分と負け越した。1993年の中日(73勝57敗2分)も、白星はヤクルトより7つ少なく、黒星は7つ多く、リーグ2位に終わった。
また、今シーズンのパ・リーグ最多勝のうち、千賀と涌井は規定投球回に到達したが、石川は規定投球回に8.1イニング足りなかった。
規定投球回未満で最多勝は、1988年の伊東昭光と2005年の下柳剛に続く3人目。パ・リーグでは、石川が初めてだ。ヤクルトスワローズにいた伊東は、すべてリリーフとして55試合に登板し、18勝9敗と17セーブを記録した。122.2イニングは、規定投球回まで7.1イニング。防御率は3.15だった。阪神タイガースにいた下柳は、24先発で132.1イニングを投げ、15勝3敗、防御率2.99。規定投球回に13.2イニング届かなかった。2人とも、白星はリーグ1位タイ。伊東は中日の小野和幸と並び、下柳は広島東洋カープの黒田博樹とタイトルを分け合った。
3人目の石川は、18登板のうち、シーズン最終戦だけ、リリーフとして投げた。3対1とリードした4回表からマウンドに上がり、3イニングを無失点に抑えて勝利投手となった。防御率は2.42。9月は3登板で3敗ながら、他に黒星はなかった。
なお、千賀は防御率2.16と奪三振149もリーグ1位。奪三振は、オリックス・バファローズの山本由伸と同数だった。最多奪三振が2人は4度目。こちらも、パ・リーグでは初めてだ。
過去にタイトルを分け合った投手たちは、こちらにリストを掲載した。