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40代で「1試合3本塁打」は4人。次に記録しそうなのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ネルソン・クルーズ(ミネソタ・ツインズ)Oct 5, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1試合3本塁打は、メジャーリーグの最多記録ではない。これまでに18人が、1試合4本塁打を記録している。ただ、40代で1試合3本塁打となると、かなり稀だ。ベーブ・ルース(1935年5月25日)、スタン・ミュージアル(1962年7月8日)、レジー・ジャクソン(1986年9月18日)、ジェイソン・ジアンビ(2011年5月19日)の4人しかいない。

 当時、ミュージアルは41歳、他の3人は40歳だった。いずれも、通算400本以上のホームランを打ち、ジアンビ以外は殿堂入りしている。ジアンビは、初めて候補になった2020年度の投票で得票率1.5%(6票)――アルフォンソ・ソリアーノとまったく同じ――に終わり、次回の候補から外れた。

 ルースが40歳で記録した1試合3本塁打は、先日、「新ルールを生んだ危険なプレー◆ルース最後の本塁打◆1000登板は他にもいるが…【5月25日のMLB】」で紹介したとおり、通算712~714本目。キャリア最後のホームラン3本となった。ちなみに、ジョン・グッドマンがルースを演じた映画「夢を生きた男/ザ・ベーブ」では、最後のホームランを打ったルースに「代走」が起用されるが、これはフィクションだ。実際は、ルース自身がダイヤモンドを一周した。

 現時点でメジャーリーグの球団に在籍している野手のうち、今シーズン、彼らに続く5人目になり得るのは、40歳のアルバート・プーホルス(ロサンゼルス・エンジェルス)と39歳の2人だ。エリック・クラッツ(ニューヨーク・ヤンキース)は6月15日に誕生日を迎え、ネルソン・クルーズ(ミネソタ・ツインズ)も半月後の7月1日に続く。

 プーホルスとクルーズが通算400本以上のホームランを打っているのに対し、クラッツは10シーズンで31本に過ぎず、1試合3本塁打は一度もない(2014年に1試合2本塁打が1度)。マイナーリーグ契約なので、ロースターに入れるかどうかもわからない。現在の立場は、3~5人目の捕手だ。ヤンキースにはゲリー・サンチェスカイル・ヒガシオカの他に、クラッツと同じくマイナーリーグ契約のクリス・アイアネッタジョシュ・トーリーもいる。

 また、プーホルスの通算本塁打はクルーズより250本以上も多いが、2017年以降の3シーズンは、プーホルスが65本、クルーズは117本だ。しかも、プーホルスの1試合3本塁打は、今から10年前の2010年5月30日が最後(4度目)。クルーズは2018年まで皆無ながら、昨シーズンは2度、7月25日と8月3日に1試合3本塁打を記録した。

 こうしたことからすると、40代で1試合3本塁打の史上5人目に最も近いのは、プーホルスではなく――クラッツでないことは言うまでもないが――クルーズだろう。昨年9月に「39歳にして「6年連続35本塁打以上」。その前は「5年連続35本未満」」でも書いたように、クルーズはレイト・ブルーマー(遅咲き)だ。

 もっとも、シーズンさえ始まれば、クルーズ、プーホルス、クラッツがそれぞれ1試合に3本のホームランを打つ可能性も、極めて低いとはいえ、ゼロではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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