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39歳にして「6年連続35本塁打以上」。その前は「5年連続35本未満」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ネルソン・クルーズ(ミネソタ・ツインズ)Sep 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ネルソン・クルーズ(ミネソタ・ツインズ)は、7月1日に39歳の誕生日を迎えた。そこから約2ヵ月で19本のホームランを打ち、9月3日にシーズン本塁打を35本とした(写真はその直後)。

 過去5シーズンも、クルーズは35本塁打以上を記録している。6年続けて35本以上は、史上8番目の長さだ。ウィリー・メイズと並び、上には7人しかいない。

 この9人をストリークの年代順に並べると、最初の4人は殿堂入りしている。一方、その後の5人のうち、薬物と無縁だったのは、アダム・ダンだけだ。クルーズも例外ではなく、2013年8月に50試合の出場停止を科された。

筆者作成
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 ただ、薬物との因果関係はさておき、クルーズのストリークは、出場停止の翌年から始まった。ラファエル・パルメイロアレックス・ロドリゲスの出場停止は、ストリークが途切れた後だ。サミー・ソーサは薬物による出場停止を科されていないが、このストリーク中の2003年には、ニューヨーク・タイムズなどから、薬物検査で陽性反応と報じられた。昨年、ESPNの「E:60」に出演したソーサは、「陽性反応を示したことはない」と語り、インタビュアーの「陽性反応なしと、薬物を使っていないことは違う」という言葉にも、「繰り返す。陽性反応はなかった」と言い、薬物使用を否定はしなかった。

 クルーズはレイト・ブルーマー(遅咲き)だ。このストリークをスタートさせたのも、34歳(シーズン終了時)の時だった。他8人のストリーク1年目は、ベーブ・ルースとパルメイロでも31歳。6人はさらに若かった。クルーズがシーズン35本以上のホームランを打ったのは、2014年(40本)が最初だ。初めて100試合以上に出場した――これも29歳と遅かった――2009年は33本塁打ながら、2010~13年は4シーズンとも、20本以上30本未満だった。

 また、クルーズ以外の8人中7人は、39歳になる前にストリークが途切れた。パルメイロのストリーク最終年は39歳だが、誕生日は9月24日。このシーズンの38本塁打のうち、37本目までは38歳の時に打った。

 早ければ今シーズンが終わる前、遅くとも来シーズン早々に、クルーズは通算400本塁打に達するはずだ。あと5本打つと、史上57人目のマイルストーン達成となる。来シーズンの契約は、1200万ドルの球団オプションだ。今シーズンの年俸より200万ドル安い。ツインズはオプションを行使し、クルーズを残留させるだろう。パワーを発揮し続けているだけでなく、今シーズンの出塁率.380は実質的なキャリアベストだ。出場40試合未満の2シーズンを除くと、15シーズンのなかで最も高い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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