Yahoo!ニュース

代役の捕手をトレードで放出すべきではなかった!? 一方、あの外野手は放出すべきだった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィルソン・コントレラス(シカゴ・カブス)Aug 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月3日、ウィルソン・コントレラス(シカゴ・カブス)は打席から走り出した直後、右手を右太腿裏に当てて、左足だけで跳ねながら一塁へ向かった。翌日、コントレラスは故障者リストに入った。ESPNシカゴのジェシー・ロジャースらによれば、復帰まで4週間かかる見込みだという。

 コントレラスは、カブスの正捕手だ。7月半ばに右足底を痛めた時、カブスはその代役として、カンザスシティ・ロイヤルズからマーティン・マルドナードを獲得した。ただ、マルドナードはすでにカブスにいない。コントレラスの故障者リスト入りが最短の10日間で済んだため、カブスはマルドナードをヒューストン・アストロズへ放出した(マルドナードの動きについては「大谷翔平の元バッテリーメイトが、トレード半月後に再びトレード。ダルビッシュ有とは組まずにカブスを去る」で書いた)。8月3日、マルドナードは4投手の球を受け、彼らをノーヒッターに導いた。

 ただ、カブスはマルドナードを放出すべきではなかった、とは言えない。編成責任者のセオ・エプスティーンは、ボストン・レッドソックスで「バンビーノの呪い」を解き、カブスでも「山羊の呪い」を打ち破ったが、彼の力をもってしても、突然の故障は予測できない。マルドナードと交換に獲得したトニー・ケンプは、外野3ポジションと二塁を守ることができる。

 コントレラスの故障者リスト入り(2度目)と同時に、カブスはAAAからテイラー・デービスを昇格させ、捕手をビクター・カラティニとデービスの2人としたが、新たな捕手を手に入れようとするかもしれない。例えば、ニューヨーク・メッツのAAAにいるレネ・リベラは、40人ロースターに入っていないので、トレードで獲得できる。2年前の夏にリベラがメッツからカブスへ移った時は、今と同じように、コントレラスが離脱していた。また、ロサンゼルス・エンジェルスは、8月5日にジョナサン・ルクロイを解雇した。力量からすると、2人のうち、カブスが手に入れるべきはルクロイだろう。

 一方、ニューヨーク・ヤンキースでは、8月3日と4日に、一塁手のエドウィン・エンカーナシオンと外野手のアーロン・ヒックスがそれぞれ故障者リストに入った。それでも、AAAから外野手のクリント・フレイジャーを昇格させるつもりはないらしい。

 この夏、ヤンキースは先発投手の獲得に動いていて、その交換要員には、フレイジャーの名前が浮上していた。フレイジャーは9月で25歳と若く、ヤンキースは将来を考えて手放さなかったのだろうが、今秋のポストシーズンに関して言えば、先発投手を手に入れられなかったことを悔やむ結果になりかねない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事