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兄弟が監督として対戦!? 10月就任の兄に続き、弟も候補に浮上中

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から3人目がデビッド・ベル Sep 1, 2015(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 30チームのうち、ボルティモア・オリオールズだけは来シーズンの監督が決まっていない。これから面談を行うらしく、ピーター・ギャモンズのツイートによると、候補の一人には、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの選手育成部門の責任者、マイク・ベルも挙がっているという。

 選手生活のほとんどを、ベルはマイナーリーグで過ごした。メジャーリーグ出場は、2000年の19試合しかない。ただ、ベースボールの「家柄」あるいは「血筋」は抜群だ。祖父のガス、父のバディ、兄のデビッドは、3人ともメジャーリーグで1400試合以上に出場した。父は、監督としても、3チームで指揮を執った。

 そして、今年10月には、兄がシンシナティ・レッズの監督に就任した。昨年、「史上初の「3世代メジャーリーガー」から、史上4組目の「親子監督」が生まれるかも」で書いたように、「親子監督」は極めて少ない。同じように「兄弟監督」も稀少だ。兄に続き、マイクが監督に就任すれば、史上5組目の「兄弟監督」となる。最初の3組、ハリー&ジョージ・ライトディーコン&ウィル・ホワイトデーブ&ジャック・ロウは19世紀なので、20世紀以降に限れば、マーセル&レネ・ラッチェマン以来だ。

 ライト兄弟とラッチェマン兄弟は、兄と弟の監督時代が重なっている。ライト兄弟は1879年に、兄のハリーがボストン・レッドストッキングス、弟のジョージはプロビデンス・グレイズで采配を振った(弟は選手兼任)。両チームは、12試合で対戦。結果は、兄が4勝、弟が8勝だった。

 ラッチェマン兄弟は、1994年の途中から1996年の途中まで重なる。ただ、兄のマーセルはア・リーグのカリフォルニア・エンジェルス、弟のレネはナ・リーグのフロリダ・マーリンズで指揮を執り、対戦はしていない。両チームともポストシーズンには進めず、インターリーグは1997年に始まった。ちなみに、兄がエンジェルスの監督に就任した1994年5月まで、マーリンズでは、弟が監督、兄が投手コーチを務めていた。

 ベル兄弟の場合も、弟のマイクがオリオールズの監督に選ばれたとしても、来シーズンの対戦はない。インターリーグのカードに、オリオールズ対レッズは組まれていない。両チームとも、来秋のワールドシリーズへ進むこともないだろう。今から139年前に起きた兄弟監督の対戦が再び実現するのは、さらに先となりそうだ。もしかすると、それはベル兄弟ではなく、別の兄弟かもしれない。

 アレックス・コーラ監督(ボストン・レッドソックス)とアーロン・ブーン監督(ニューヨーク・ヤンキース)には、どちらも元メジャーリーガーの兄、ジョーイブレットがいて、コーラの兄はピッツバーグ・パイレーツで三塁コーチを務めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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