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史上初の「3世代メジャーリーガー」から、史上4組目の「親子監督」が生まれるかも

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ブーン。2003年にリーグ優勝を決めるサヨナラ本塁打を放った直後(写真:ロイター/アフロ)

 来シーズンの監督を決めるため、ニューヨーク・ヤンキースが面接を行っている。その人数はすでに5人を数え、ニューズデイのエリック・ボランドらによれば、さらに増える見込みだという。

 面接を受けた5人中3人は、今シーズンもメジャーリーグのダグアウトにいた。ロブ・トムソンはヤンキースでベンチ・コーチ、ヘンスリー・ミューレンスはサンフランシスコ・ジャイアンツで打撃コーチ、クリス・ウッドワードはロサンゼルス・ドジャースで三塁コーチを務めた。また、エリック・ウェッジは元監督だ。クリーブランド・インディアンズ(2003~09年)とシアトル・マリナーズ(2011~13年)で指揮を執った。

 それに対し、アーロン・ブーンだけは指導者としての経験をまったく持たない。マイナーリーグでも皆無だ。2010年2月に引退を発表し、その後はESPNで解説者を務めてきた。

 ただ、アーロンの父ボブは、カンザスシティ・ロイヤルズ(1995~97年)とシンシナティ・レッズ(2001~03年)で采配を振った。ボブとアーロンの親子は、レッズでは監督と選手でもあった。

 これまでに親子ともメジャーリーグで監督を務めたことがあるのは、コニーアール・マックジョージディック・シスラーボブジョエル・スキナーの3組だけだ。どちらも監督としてフルシーズンを過ごしたのは、シスラー親子しかいない。

 ボブとアーロンが史上4組目の「親子監督」になるかどうかはさておき、すでにブーン家の名は球史に深く刻まれている。ブーン家では2人の他に、アーロンの祖父レイと兄ブレットもメジャーリーグでプレーした。義理の間柄を除くと4組いる「3世代メジャーリーガー」のうち、史上初はブーン家だ。しかも、他の3組と違い、ブーン家は全員がオールスター・ゲームに出場した。

 さらに、ブーン家は史上初の「4世代メジャーリーガー」となる可能性もある。アーロンの甥でブレットの息子ジェイクは、今年のドラフトで38巡目(全体1153位)にワシントン・ナショナルズから指名された。入団はせず、プリンストン大に進学したものの、いずれは、曽祖父、祖父、父、叔父と同じ道を歩むと思われる。

 なお、ニューヨーク・デイリー・ニューズのピーター・ボッテによると、ヤンキースの監督候補には、こちらも「3世代メジャーリーガー」のジェリー・へアストンJr.も挙がっているという。へアストン家はジェリーJr.を含め、その祖父サム、伯父ジョン、父ジェリー、弟スコットの5人とも、メジャーリーグで監督を務めたことがない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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