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最後の投票で殿堂入りできるか。今回が10度目のスラッガー2人は明暗が分かれそう

宇根夏樹ベースボール・ライター
エドガー・マルティネス Sep 19, 2003(写真:ロイター/アフロ)

 記者投票による2019年の殿堂入り候補には、35人が挙がっている。マリアーノ・リベラロイ・ハラデイをはじめとする20人は、今回初めて候補に名を連ねた。東北楽天ゴールデンイーグルスでもプレーしたケビン・ユーキリスも、その一人だ。一方、エドガー・マルティネスフレッド・マグリフは10度目。記者投票にかかるのは、今回が最後となる。ちなみに、これまでに最後の記者投票で殿堂にたどり着いたのは、レッド・ラフィング(1967年)、ジョー・メドウィック(1968年)、ラルフ・カイナー(1975年)、ジム・ライス(2009年)、ティム・レインズ(2017年)の5人だ。

 エドガーはシアトル・マリナーズ一筋に18年プレーし、キャリアの前半は三塁を守り、その後はDHを務めた。通算成績は、打率.312、出塁率.418、OPS.933、2247安打、309本塁打、514二塁打。マグリフは一塁手として6チームで19年を過ごし、打率.284、出塁率.377、OPS.886、2490安打、493本塁打、441二塁打を記録した。エドガーは首位打者を2度、マグリフは本塁打王を2度獲得している。

 前回の得票率が70.4%だったエドガーは、今回、75%を上回って殿堂入りしそうだ。1年前に「2018年の殿堂入り。前回は惜しくも涙を呑んだ2人を「当確」とするのには根拠がある」で書いたように、70%以上(75%未満)の票を得た候補者のほとんどは、翌年にホール・オブ・フェイマーとなっている。今年殿堂入りしたブラディミール・ゲレーロ(71.7→92.9%)とトレバー・ホフマン(67.3→74.0→79.9%)も、この「法則」に当てはまる。

 それに対し、マグリフは前回の投票で、得票率23.2%に終わっている。その前も25%にすら達したことはなく、最高でも2012年の23.9%に過ぎない。今回が最後ということから、多少の上積みはあるかもしれないが、いきなり50%以上も上昇するとは考えにくい。

筆者作成
筆者作成

 ただ、記者投票で選ばれなくても、クーパースタウンに通じる道は残る。かつてのベテランズ・コミッティが、現在はエラズ・コミッティズとして「トゥディズ・ゲーム(1988年~)」「モダン・ベースボール(1970~87年)」「ゴールデン・デイズ(1950~69年」「アーリー・ベースボール(~1949年)」の4つに分かれ、選手以外も含めたホール・オブ・フェイマーを選出している。

 こちらは毎年ではなく、今回はトゥディズ・ゲームの選考を行う。その候補には、ハロルド・ベインズアルバート・ベルジョー・カーターウィル・クラークオレル・ハーシュハイザーデービー・ジョンソンルー・ピネラリー・スミスチャーリー・マニエルジョージ・スタインブレナーの10人が挙がっている。マニエルとスタインブレナーを除く8人は記者投票にかかり、スミスはどの年も5%以上(29.9~50.6%)の票を得て、最後まで候補に残り続けた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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