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ほぼ完璧なピッチング、妻の兄に打たれた以外は。手加減はしていないだろうが、結婚前は抑えていたのに

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリット・コール(ピッツバーグ・パイレーツ)Apr 23, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月22日、6イニングを投げたゲリット・コール(ピッツバーグ・パイレーツ)は、ブランドン・クロフォード(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の2ラン本塁打以外はほぼ完璧に抑え、白星を手にした。クロフォードにはシングル・ヒットも打たれたが、その他の選手には計2安打(いずれもシングル・ヒット)しか許さなかった。

 コールにとって、クロフォードは妻の兄だ。前回対戦した2017年7月24日にも、タイムリー・ヒットを含む2安打を打たれている。この試合も、コールは6回2失点で勝利投手となった。2試合とも、コールの妻=クロフォードの妹からすれば、悪くない結果と言えよう(この点については、3年前に「マウンドには婚約者、バッター・ボックスには兄。しかも、どちらもオールスター選手という豪華さ」で書いた)。

 2人の対戦成績は、通算20打数6安打(打率.300)。2016年のオフにコールが結婚し、彼らが義理の兄弟となるまでは、12打数2安打(.167)、0本塁打、0打点だったが、結婚してからは、8打数4安打(.500)、1本塁打、3打点だ。

 昨年11月に「メジャーリーガーの父と母が結婚。息子2人は計600本塁打以上。過去には兄弟だけでなく親子になった例も」で書いたように、兄弟になったメジャーリーガーはクロフォードとコールだけではない。アトランタ・ブレーブスのニック・マーケイキスライアン・フラハティは、それぞれの妻が姉妹だ。彼らはボルティモア・オリオールズでもチームメイトとしてプレーしたが、当時、フラハティは結婚していなかった。

 どちらも野手のマーケイキスとフラハティは、別々のチームにいても、クロフォードとコールのように、打者と投手として対戦する可能性は低い(フラハティは通算1登板)。一方、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)の場合、妻の弟であるアーロン・コックスは投手だ。現在はエンジェルス傘下のマイナーリーグにいるので、チームメイトになる可能性の方が高いが、一方が移籍すれば、対戦してもおかしくない。

 もっとも、チームメイトになるのも、対戦するのも、コックスがメジャーデビューできればの話だ。トラウトのドラフト1巡目・全体25位(2009年)に対し、コックスは19巡目・全体585位(2015年)。現在はA+でリリーフとして投げていて、奪三振は多いものの、与四球も少なくない。昨年の夏は薬物検査に引っかかり、50試合の出場停止処分を科された。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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