Yahoo!ニュース

2023年の食の炎上事件トップ5 回転寿司、有名YouTuber、旧ジャニーズを押さえての1位は?

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

反響のあった食の炎上事件の記事

2024年が幕を開けました。2023年はコロナ明けとなり、飲食業界にとっては光が差す一年になったように思います。ただ、食に関する炎上事件は変わらずに起きており、様々な事案を記事で取り上げてきました。

それぞれ異なる事案で、ページビューや反響もだいぶ異なります。昨年の一年間を振り返って、反響のあった食の炎上事件を取り上げた記事を紹介していきましょう。

5位/回転寿司店での炎上

回転寿司店で他人の寿司をレーンから直箸で取った動画が大炎上! 自作自演を主張するもやはり問題のワケ(東龍)/Yahoo!ニュース

回転寿司のスシローで起きた、いわゆる「寿司ペロ事件」の前に発覚した事案です。

TikToker=TikTok投稿者が、レーンを回っている皿から、2貫のうち1貫だけ寿司を取り、食べてしまいました。皿と残りの1貫はそのまま流れていくことに。これには「注文品」と明記されており、他の人がオーダーした寿司がおいしそうだったので食べてしまったという内容でした。

このTikTokの動画が、別のユーザーによってTwitterへ投稿されたところ、大きな批判があり、炎上したのです。

この後には、回っている寿司に対して、ワサビをのせたり、唾液を付着させたり、手で触れたり、湯飲みや醤油さしを舐めたり、醤油さしに口をつけて直に飲んだり、回っているフライドポテトを1本とって食べたり、醤油をわざとテーブルにこぼしたりと、回転寿司店での様々な問題行為が俎上に載せられました。

これらを「迷惑行為」と評するには全く不十分。最低でも、経営基盤を揺るがすような悪質な「問題行為」、もしくは、日本の風紀を乱すような「犯罪行為」として表現しなければならないと考えています。

4位/有名YouTuberによるドタキャン

有名YouTuberが飲食店の撮影をドタキャン! その後にとった“ありえない行動”に非難が殺到(東龍)/Yahoo!ニュース

愛知県にある話題の飲食店でのこと。

2023年9月に、有名YouTuberからInstagramのダイレクトメッセージで接触があり、その後はLINEでやりとりします。用件は撮影の依頼で、承諾しますが、予約時間の3時間前に急用が入ったからという理由でドタキャン。オーナーはドタキャンについては理解を示し、不問にしました。しかし、翌月の10月25日に同じYouTuberからメールが届きます。その内容は、有料でコラボレーション動画を制作しないかという営業だったのです。

取材に協力してもらう側への配慮も極めて重要。迷惑をかけないのは当然のことながら、協力してもらうことでメリットが享受できるようにしなければなりません。なぜならば、メディアそれ自体はあくまでも、単なる箱=フォーマットであり、最も重要なのはコンテンツ=取材対象そのものだからです。

飲食店に協力してもらわなければ、コンテンツは生まれません。取材してあげているという態度ではなく、コンテンツを提供してもらっているという認識が大切です。

3位/ジャニーズJr.がシュークリームを壁に投げる

ジャニーズJr.がシュークリームを壁に投げて非難の嵐! 「ある謎」と本当の問題(東龍)/Yahoo!ニュース

旧ジャニーズ事務所が性加害で世間を騒がせましたが、少し前に旧ジャニーズJr. のアイドルグループによる、ある動画が物議を醸していました。

それは、X(旧Twitter)に投稿されたシュークリームを壁に投げる動画。グループのメンバーが部屋の中で、賞味期限が切れているといって、シュークリームを思い切り壁に投げつけていました。6年前の動画ですが、心象がよくなかったこともあり、大きな反響を呼んでいます。

反応の多くは非難ばかりです。動画では賞味期限といっていましたが、シュークリームは生菓子なので、消費期限のことをいっているのでしょう。

投げたシュークリームの消費期限が切れていた理由は不明ですが、「もったいないことをした」と自省したり、「食べたかったなぁ」と悔やんだりした様子はありませんでした。普通の感覚であれば、おいしそうなシュークリームが食べられなくなってしまい、残念に思うところです。しかし、残念がるどころか、骸を痛ぶるのを楽しんでいるようで胸が痛みます。

もしも、発言通り賞味期限ということであったとすれば、賞味期限を少し過ぎてもまだ食べられるので、行為はより理解に苦しみます。

2位/食い尽くし系の恐怖

「注意したのに夫が娘のハンバーグまで全て食べた!」に反響 問題になっている「食い尽くし系」とは?(東龍)/Yahoo!ニュース

食い尽くし系(食べ尽くし系)は、大皿に盛られている料理を全て一人で平らげたり、冷蔵庫にあるものを勝手に全部食べたり、保管されているものにさえ手を出したりと、家族など他の人のことを考えず、あるものを食べ尽くしてしまう人を指します。

「他の人の分を全て食べる」「事前に注意しても食べる」にはじまって、「つくりおきを食べる」「冷蔵庫にあるものを勝手に食べる」「店舗で試食品を食べ尽くす」「被災地で配布されたものですら、家族の分まで食べる」と、なかなかショッキングです。

食い尽くし系の人は、おいしかったから食べてしまっただけと、悪びれることもありません。怒っても何も響かないので、怒ることに疲れてしまい、もう諦めてしまうケースもあります。

いつでも食べられるものを、食事とは別に用意しておくという対策も散見されますが、結局は全てを勝手に食べられるだけなので、意味がないようです。

食い尽くし系は、摂食障害や発達障害、もしくは、何かしらの依存症であるようにも感じられますが、医学的な観点からはまだそのように認められていません。

1位/大食い競技への批判

大反響の高校生による「大食い競技」批判は正しいか? 考察するべき5つのこと(東龍)/Yahoo!ニュース

ある高校生の記者が高校生新聞オンラインに投稿した記事が話題になりました。

記事の主旨は、テレビ番組の大食いチャレンジ企画に対する、批判に近い問いかけ。記者は食べることが大好きで大食い競技の番組をよく見ていましたが、違和感を覚えるようになったといいます。

違和感の理由は3つ。「苦しそうに食べる姿は見ていて気持ちよくないから」「食材を無駄にしているように見えるから」「SDGsを推進する世界的な流れに逆行する価値観を子どもたちに植え付けるのは良くないと思うから」ということでした。

大きな反響を呼び、主旨に賛同したり、好意的だったりする意見が多いです。

私も記者と同様に、以前までは興味をもって、大食い競技や早食い競技の番組を観ていましたが、10年くらい前から違和感を覚えるようになりました。

そして、こういった競技に疑義を唱える記事を書いてきた経緯がありますが、当記事は普通の人よりもたくさん食べる大食いの方を否定するものではありません。あくまでも、大食い競技や早食い競技という、コンテンツに対する考えを述べました。

2024年に飛躍するため

2023年を振り返ってみると、回転寿司での問題行為、有名YouTuberによるドタキャン、元ジャニーズJr.の非常識な行為、食い尽くし系の恐怖、大食い競技への批判など、様々な事案となっています。

それぞれが非常に深刻な課題を内包していることは確かです。こういった課題が幅広いということにおいては、食の業界は大きな問題をはらんでいるように思います。

日本へのインバウンドが復調してきており、外食産業の市場規模の回復、農林水産物・食品の輸出も拡大してきている、この2024年。まずはこういった日本国内の問題から解決していけたらと考える次第です。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

東龍の最近の記事