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新型コロナで大流行のオンライン飲み会における10の利点

東龍グルメジャーナリスト
(写真:アフロ)

飲食店の売上が激減

緊急事態宣言が5月31日まで延長され、引き続き日本全国で自粛の雰囲気となっています。不要不急の外出は控えるようにと自粛を要請され、三密を回避するようにと指針が示されました。

自粛要請の空気を感じ取って、休業している飲食店もありますが、東京都をはじめとした自治体の営業短縮の要請にしたがって、5時から20時までの営業、19時までの酒類提供を行っている飲食店もあります。

ただ、営業している飲食店はあるものの、短縮営業なので都合があわなかったり、ステイホーム(stay home)が要請されたりしているので、多くの人ができるだけ自宅で過ごすようにしていることでしょう。

その証左に飲食店における3月の売上は対昨年比で17.3%減少となり、1994年以来の過去最大の下げ幅となりました。

残念ながら、本格的な自粛となった4月の売上は、3月よりもさらに減少することが確実です。

オンライン飲み会が活発

飲食店へ訪れることができない代わりに、自宅で食事をとったり、お酒を飲んだりする人が増えました。そういった状況の中で、友人や同僚とオンラインでつながって一緒に食べたり飲んだりする機会も多くなってきているのです。

インターネットを通じて他の人と一緒に食べ飲みするスタイルは、シンプルにオンライン飲み会といわれたり、ビデオ通話アプリケーションの名前からZoom飲み会(ズーム飲み会)と呼ばれたりしています。

Zoomではなく、日本で最も普及しているコミュニケーションツールのLINE(ライン)を用いたり、FacebookのMessengerやSkype(スカイプ)、さらにはオンライン飲み会専用のアプリ「たくのむ」が利用されたりしている飲み会も少なくありません。

オンライン飲み会は新しいスタイルであるだけに、当初はあまり楽しくないのではないか、そこまでしてつながって食べ飲みする必要があるのか、といった声も聞かれました。しかし、多くの人が慣れてきたこともあり、最近ではネガティブな声が聞かれなくなってきたように思います。

私は実際に飲食店へ訪れて食べ飲みしたいという気持ちが強いです。しかし、それでも、このオンライン飲み会には、以下のような優れた点があると考えています。

  • お酒を飲めない人も楽しめる
  • 自分のペースで飲める
  • 途中の参加や退出が自由
  • 好きなお酒を飲める
  • 意外な好みがわかる
  • 他人の分を注文しなくていい
  • タバコ臭くない
  • 費用が公平
  • 複数の飲み会に参加可能
  • 寝落ちできる

お酒を飲めない人も楽しめる

オンライン飲み会は、お酒を飲めない人も楽しめるのがよいところです。

お酒を飲めない人、もしくは、お酒を好きでない人は、あまりお酒を飲みません。リアルな飲み会ではほぼ必ず、お酒を飲む人が、お酒をあまり飲んでいない人に対して、どうして飲んでいないのかとお酒を飲むように催促します。

催促した人には悪気がなく、相手が遠慮しているのでよかれと思って促していることもありますが、こういった行為は独善的であるといってよいかもしれません。

オンライン飲み会では、対面で飲んでいるわけではないので、あまりお酒を飲んでいなくても催促されにくいでしょう。なぜならば、相手が飲むペースをそこまで把握できなかったり、烏龍茶やジュースばかりを飲んでいたとしても、画面を通してであればわからなかったりするからです。

また、お酒を飲めない人からすれば、お酒を飲む人は酒臭く感じるかもしれません。しかし、オンライン飲み会であれば臭いも伝わらないので、気になることもないでしょう。

オンライン飲み会では、お酒を飲まなければならないといった雰囲気がなくなったり、お酒臭さが感じられなくなったりするので、お酒を飲めない人でも十分に楽しめます。

自分のペースで飲める

お酒が好きな人であったとしても、他の人から飲むようにと催促されるのは快いものではありません。自分なりのペースでお酒を飲みたいものです。

しかし、オフライン飲み会では、宴席の時間がしっかりと決まっていることもあり、早くどんどん飲むようにと急かされることがあります。

いくらお酒が好きであったとしても、ペースを乱されることになり、楽しく飲むことができなくなるのではないでしょうか。

オンライン飲み会であれば、前述したように何を飲んでいるのかわかりにくいことに加えて、飲むペースも把握されづらくなります。

飲むように急かされなくなり、マイペースでお酒を味わえることは、お酒があまり飲めない人だけではなく、お酒が好きな人にとっても利点です。

途中の参加や退出が自由

飲み会の開始時間は、オフライン飲み会と同様にオンライン飲み会でも決まっています。

オフライン飲み会であれば予約した時間に開始となっており、オンライン飲み会であれば、何時にオンラインにつないで集合といった感じになっているのではないでしょうか。

オンライン飲み会の場合には、途中で参加したり、どこかの時点で退出したりすることも、リアルな飲み会に比べると容易。

なぜならば、入退出する際にあまり目立たなかったり、他の人に席を立ってもらい、通してもらう必要がなかったりするからです。

このような自由さが、参加するためのハードルを下げているのではないでしょうか。

好きなお酒を飲める

ビストロやトラットリアであればワイン、居酒屋であれば日本酒や焼酎、中国料理店であればビールや紹興酒、ダイニングバーであれば広く浅くというように、リアルな飲み会であれば、訪れる飲食店によってお酒の品揃えはある程度決まっているものです。

しかし、オンライン飲み会の場合には、各自が取り揃えるので、お酒の種類も全く異なります。

大手メーカーのビールや好みのクラフトビールであったり、シャンパーニュやカヴァといったスパークリングワインであったり、ボルドーの赤ワインやブルゴーニュの白ワインであったり、自分で作ったハイボールやカクテルであったりと、全く異なることでしょう。

訪れる飲食店に依存せず、それぞれの参加者が好きなお酒を飲めるのはよいところです。

意外な好みがわかる

オンライン飲み会では、各人が用意したお酒を飲むことになりますが、別の観点に立てば、相手が何を飲むのかわからないという楽しさもあります。

実はこのブランドのビールが好きだったのか、コート・デュ・ローヌの白ワインをよく飲んでいるのか、オーストラリアのシラーズを合わせるのか、リキュールで割ったお酒を好んで嗜むのかなど、相手の意外な一面を知ることもあるのです。

飲食店では基本的に、メニューやブラックボードに掲載されているものしかオーダーできません。こういった制約がないだけに、相手が普段どのようなお酒を飲んでいるのかがわかります。

これにはお酒だけではなく、料理も当てはまることでしょう。

他人の分を注文しなくていい

会社の飲み会ではなく、プライベートな飲み会であったとしても、幹事であるかどうかを問わず、みんなに気を使って場の黒子に徹してくれる人はいるものです。

そういった人は、誰かのお酒がなくなりそうになると、次も同じものを飲むか、もしくは、次は別のお酒にしようかと尋ね、オーダーしてくれます。

もしも、メニューがその場にないようであれば、従業員にメニューを持って来てもらうようにお願いしてくれるでしょう。そして、お酒が運ばれて来れば、どのお酒が誰のものだと判別して各人に受け渡してくれるなど、よく気が利きます。

オンライン飲み会であれば、従業員はもちろんその場にはいませんし、飲食店ではないのでオーダーする必要もありません。

いつもは周りをよく観察してお酒の手配をしてくれる人も、他人に気を使う必要はなくなり、もっとお酒の場に集中して純粋に楽しめるようになるのではないでしょうか。

タバコ臭くない

リアルな飲み会とは違って、全員が同じ物理的な空間を共有していないこともメリットになりえます。

2020年4月1日から改正健康増進法が全面施行され、同日から東京都では国よりも厳しい東京都受動喫煙防止条例が施行されました。

これによって、東京都では84%もの飲食店が対象となり、屋内で喫煙できなくなりましたが、喫煙室を設けることは可能。

いくらダイニングエリアが禁煙であったとしても、喫煙室でタバコを吸った後にテーブルに戻って来れば、非喫煙者は喫煙者が体にまとった臭いが気になるものです。

従業員がいない小さな飲食店であれば、全面喫煙にすることもできます。そのような飲食店であれば、タバコの煙が店内に充満することは不可避。

飲み会を開催する際、幹事が喫煙者に気を使って、喫煙できる飲食店を選ぶことは少なくありません。そうなると、飲み会の間中ずっと、非喫煙者は心地よくない思いをすることになります。

しかし、オンライン飲み会であれば、誰がどれだけタバコを吸っていたとしても、その煙は他人に決して届きません。

タバコの臭いが苦手な人にとっては、自分だけの空間が確保されるオンライン飲み会は、料理やお酒をおいしく食べ飲みできる安心かつ安全な会であるといってよいでしょう。

費用が公平

誰が何をどれくらい食べ飲みしたかを把握することは難しいです。一人が一品を食べていればまだしも、複数人が一品を食べていれば、なおさらのこと。飲んだお酒の分量も同様です。

そのため、オフライン飲み会では、全体の会計金額を人数で割って支払う、割り勘が行われることになります。

会社関係であれば役職者が上の人が、プライベートであれば多く食べ飲みした人が、他の人よりもたくさん支払うこともあるでしょう。しかし、どこまで公平な金額となっているのかは疑問が残るものです。

オンライン飲み会では、各自が事前に食べ飲みする酒肴とお酒を用意します。他の人と割り勘する必要がないので、費用は極めて公平です。

複数の飲み会に参加可能

オフラインであれば、同じ時間に開催されている複数の飲み会に同時に参加することは不可能。

しかし、オンライン飲み会では、ツールを使い分ければ複数の飲み会に参加することができます。同時に参加することが難しかったとしても、簡単に飲み会を行き来したり、ハシゴしたりすることはできるでしょう。

参加したい飲み会の日時が重なった場合でも、複数の飲み会に参加できるのは嬉しいことです。色々な飲み会に参加できるようになるのは、リアルな飲み会と大きく異なることです。

寝落ちできる

オンライン飲み会は自宅で行うことが多いでしょう。自分の家でなければ、パートナーや友人、親類の家であると思います。

みんなで楽しく食べ飲みしていれば、お酒も進んでしまうというもの。ただ、飲食店で飲んでいるのであれば、自宅に帰らなければならないので、酔い潰れるわけにはいきません。

終電までに電車に乗ったり、タクシーを捕まえたりするなどし、帰宅するのが普通でしょう。どうしても無理そうであれば、近くにあるホテルで一夜を明かすしかありません。

しかし、オンライン飲み会であれば、基本的に自宅なので、そのまま酔い潰れてしまうことができます。どれだけお酒が進んだとしても、その後のことを心配する必要がないのは、私も含めた酒飲みとして幸せなことではないでしょうか。

食体験は時代によって新しくなる

食体験は時代によって形を変えるものです。それは、美食の帝王であるフランス料理でも同様。

ルネサンス時代になって手づかみではなくフォークを使って食べるようになり、食べ物に直接触れることがなくなったので、食事の作法が洗練されるようになりました。

19世紀になってからはようやく、前菜や主菜のセットがどんと置かれる視覚を重視したフランス式サービスから、一品一品を順番に提供して味や温度管理に重きを置くロシア式サービスへと移行。

ここから現在へと続く味覚の美食学が開花した歴史を鑑みれば、食体験は常に変容するものであることを受け入れなければなりません。

オンライン飲み会がますます定着していく

正直いえば、私は実際に飲食店で食べ飲みすることが最も素晴らしいと思っています。

なぜならば、料理人が知恵を絞った料理やソムリエによるワインのペアリングだけではなく、空間やサービス、テーブルウェアやスタッフとのやり取りも、非常に重要な食体験であると考えているからです。

ただ、これまで挙げてきたように、ZoomやLINEなどを通じたオンライン飲み会には、リアルな場のオフライン飲み会にはない長所がたくさんあります。

オンライン飲み会は、これまでのリアルなオフライン飲み会から、物理的な制約を解かれた画期的なスタイル。他人への過度な配慮が必要なくなり、自分が本当に好きなものだけを選べ、マイペースで食べ飲みできます。

新たな食体験を提示したオンライン飲み会は、これからますます定着していくのではないでしょうか。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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