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岸田首相のキーウ訪問、ウクライナ人はどう思っているのか

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
ウクライナのゼレンスキー大統領(左)と岸田首相(写真はともにロイター/アフロ)

岸田首相は3月21日、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行う。ウクライナ人は岸田首相のキーウ訪問をどのように思っているのか。筆者の長年の友人で、キーウ在住のウクライナの政治学者兼ジャーナリストであるビクター・カスプルク氏(67)に聞いた。

 ――岸田首相のキーウ訪問をウクライナ国民はどう思いますか。

   ウクライナ人は岸田首相のキーウ訪問を重大な出来事だと考えています。日本とウクライナの相互関係に新たな1ページを開く出来事です。日本は、ロシアによるウクライナ開戦直後から私たちを助けてきました。私たちは非常に感謝しています。

   日本とウクライナの関係が戦略的パートナーシップの方向に移行することは、両国の友好関係をより強固にするでしょう。

 ――ウクライナ人は日本のことを知っていますか。例えば、日本がロシアと抱える北方領土問題について知っていますか。

   ウクライナ人は常に日本とその歴史に興味を持ってきました。私たちには、侍とコサックという共通の精神があります。そして今、ウクライナ人のコサック精神が、ロシアの侵略から領土を解放する助けになっています。

   私たちウクライナ人は、色丹、歯舞、国後、択捉の4つの島が日本の領土であると常に信じてきました。

   そして、ウクライナがロシアに勝利した後、日本がすべての北方領土を取り戻すことができることを強く望んでいます。それは私たちが考えているよりもずっと早い時期かもしれません。

 ――開戦後に多くの欧米の指導者たちがポーランドから片道10時間の列車の旅をし、キーウを訪れています。ロシア軍がウクライナ西部での列車の平常運行を認め、空爆しないというのは事実ですか。

   それはそうです。アメリカはプーチン大統領に対し、列車を止めたらどうなるかを非公式に警告したと思います。いずれにせよ、ウクライナ人はロシアの鉄道線路を破壊していないのですから。

ウクライナの政治学者兼政治アナリスト、ジャーナリストであるビクター・カスプルク氏(67)(本人提供)
ウクライナの政治学者兼政治アナリスト、ジャーナリストであるビクター・カスプルク氏(67)(本人提供)

 ――ウクライナとロシアに対する中国の停戦提案をどう思いますか。

   中国の提案は完全に非現実的だと思います。中国の歴史において常にそうであったように、ここでも中国は自らの利益を得ようとしています。

   ウクライナとその西側パートナーがこの北京の提案を受け入れた場合、中国とロシアの術中に陥るだけです。

   ウクライナ人は、私たちの南部と東部の領土がロシアに占領されることに決して同意しません。

   そして、中国の「平和イニシアチブ」は、現在一時的にロシアによって占領されているウクライナの土地が、今後も占領され続けることを目的としています 。したがって、中国の提案は私たちにとっては絶対に受け入れられません。

 ――ウクライナ人の多くが自分たちの領土を取り戻すためにロシアと戦い続けることを望んでいますか。

   今日、ほとんどのウクライナ人は、自分たちの土地を取り戻すためにロシアと戦い続ける準備ができています。

   この約400日間の血なまぐさい戦争は、ウクライナ人が決して降伏しないことを全世界に示してきました。

   ロシアの植民者が私たちの歴史的な土地を支配し、私たちにああしろこうしろと命令することを二度と許しません。

   私たちは世界の民主主義国家すべてから支持されています。そして、この非常に困難な時期に日本が友好的に支援してくださったことに、心から感謝しています。ウクライナ人はこのご恩を決して忘れません。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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