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三笘のスーパーゴールとデルピエーロゾーンが生まれた背景。布陣が選手を作る

杉山茂樹スポーツライター
(写真:REX/アフロ)

 レスター戦の前半27分。左のタッチライン際に開いた三笘薫は、ピッチの中央でパスワークに絡んだ左SB(サイドバック)ペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)からパスを受けた。と同時に、相手の右SBティモシー・カスターニュ(ベルギー代表)と対峙することになった。

 この2人はその5分前にも1対1を演じていた。三笘が内に切れ込むと見せかけて縦方向に切り返すと、ベルギー代表の右SBはたまらず置いていかれそうになった。三笘が一瞬タッチを乱し、本来のルートより内寄りに進むことになったため、縦突破は決まらず、決定機の演出には至らなかった。

 だが、それが次の局面の布石になったことは間違いなかった。縦突破のイメージが鮮明に残るカスターニュに対し、三笘がとった手段はカットインで、右足のアウトで突くようにドリブルすれば、視界にシュートコースが広がってきた。エストゥピニャンが献身的にもパス&ゴーで、相手を牽制するように内から外へ駆け抜けたことも、三笘を手助けした。

 インフロントで強めに蹴ったその右足シュートは、右のサイドネットに吸い込まれた。スーパーゴール。一言でいえばそうなるが、大感激したか、もの凄く驚かされたかと言えば、それほどでもなかった。三笘ならこのくらいはできる。必然性を感じさせるゴールであったことも事実だった。

 先のカタールW杯で披露されてもおかしくないプレーだった。三笘をブライトンと同様の設定でプレーさせたかったと、筆者は森保サッカーに改めて不満を覚えることになった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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