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ELベスト4進出の鎌田大地は2010年W杯の本田圭佑になれるか。当時の岡田Jから森保Jが学ぶべきこと

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝で、バルセロナを合計スコア4-3で下し、ベスト4入りを決めたアイントラハト・フランクフルト。その3-4-2-1の2シャドーの一角として、鎌田大地はホーム戦、アウェー戦ともスタメン出場を飾った。初戦のホーム戦では後半36分に交代しているが、第2戦のアウェー戦では、フルタイム出場を果たしている。選手交代枠5人制で行われた試合で、アタッカーがフルタイム出場するのは珍しい事例だ。実際、先発した他のアタッカー2人は途中交代でベンチに下がっている。

 フランクフルトにとってこのバルサ戦は、ここ何年かの中で最も大きな試合だ。クラブ史に残る大一番とさえ言えるだけに、オリバー・グラスナー監督が鎌田に寄せる信頼の程がうかがい知れる。

 一方で、森保一監督からの信頼は急落の一途を辿っている。アジア最終予選に入るとスタメンを外され、交代出場の機会もなくなった。最後の4試合はなんと招集外。この評価の差をどう捉えるべきなのか。

 現在、欧州のカップ戦を戦っている日本人は、鎌田の他に同じくフランクフルト所属の長谷部誠、リバプールの南野拓実の3人だ。しかし、長谷部は鎌田より出場時間がずいぶん短い上に、日本代表を卒業した選手でもある。南野は登録メンバーにすら入れない、戦力外同然の状態にある。欧州組が繰り広げる出世争いの中で、鎌田はいま突出した存在にある。森保監督の間の悪さ、見る目のなさが際立つ格好だ。

 想起するのは、南アフリカW杯を直後に控えた2009-10シーズンだ。チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦。CSKAモスクワの一員として出場した本田圭佑は、その対セビージャ戦で大活躍。合計スコア2-2の状況から、決勝弾となる左足FKを豪快に叩き込み一躍、時の人となった。

 その時、本田は日本代表ではスタメンから遠い選手だった。時の代表監督、岡田武史氏について、見る目がないと、筆者は原稿に記しているが、岡田監督はこのセビージャ戦を受け、すかさずモスクワに飛び、本田とコミュニケーションを図ったとされる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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