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高校選手権決勝。国立競技場の105×68mのピッチが巨大なプールに見えたわけ

杉山茂樹スポーツライター
(写真:築田純/アフロスポーツ)

 高校選手権決勝。優勝した青森山田と敗れた大津の間には、4-0というスコアに相応しい様々な差が存在した。傾斜角34度とされる国立競技場の3階席から俯瞰して一目瞭然となったのが、ピッチサイズとの関係だ。大津は青森山田に比べ、ピッチが広く感じられるサッカーをしていた。

 日本のサッカーとチャンピオンズリーグ(CL)など、欧州のトップレベルのサッカーと比較して、次のような感想を口にする人が多くいる。「違うスポーツを見ているようだ」と。筆者もその1人になるが、そう感じさせる一番の原因は何かと自問自答すれば、それはピッチのサイズ感になる。

 CLを見ていると規定の105m×68mを狭いと感じ、Jリーグを見ていると広く感じる。J2、J3になると、その傾向はさらに増す。レベルが高いと狭く感じ、レベルが低いと広く感じる。狭く感じるサッカーをしているのはどっちか。言い換えるならば、ゴールへのルートが鮮明に描けているチームはどちらか。そこに目を向ければ、試合の行方は見えてくる。

 レベルの低さを示す典型的なプレーは縦蹴りだ。繋がりそうもないロングキックを前線に蹴り込み、FWがそれを、無理を承知で必死に追う。高校生らしいプレーと言えばそれまでだが、筆者は、FWが相手のDFより先にボールに追いつきそうもないのに必死に追いかける姿、可能性の低いプレーに全力を尽くそうとする姿を、できれば見たくない。

 だが、レベルが低いと、絶対有利だったはずの相手DFが転んだり、ボール操作や身体の使い方を誤ったりして、相手にボールを献上することもしばしばある。まさに高校サッカーあるあるになるが、青森山田は相手のレベルが低くても縦蹴りをしなかった。展開するサッカーを心がけていた。ピッチが狭く見えた原因だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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