11月3日(文化の日)にJ1リーグ優勝を決めた川崎フロンターレ。その4日後の日曜日に行われたサガン鳥栖とのアウェー戦には、前戦(浦和戦)からスタメンを6人入れ替えて臨んだ。結果は1-3。今季2敗目を喫した。しかし、そこにこそ川崎の強さの秘訣を見た気がした。

 川崎の優勝は残り試合に全部負けても揺るがないとはいえ、日本のスポーツ界には最後まで手を抜くべきでないという考え方が根強く存在することも事実だ。メンバーを6人入れ替えれば、とりわけコンビネーションに難が生じる。戦力に少なからず影響がでる。有終の美を飾ろうとすれば、それを避け、優勝が決まってもなお、ベストメンバーを編成し勝負にこだわろうとしがちだ。我々は何となく、そうした教育を受けてきた。その手の真面目さを美徳としてきた。

 川崎はアジアチャンピオンズリーグに出場したその直後のJリーグの試合に、先発メンバーを大幅に入れ替えて臨んだことがあった。2007年の話だが、その結果、Jリーグの柏レイソル戦に0-4で大敗すると、時のJリーグ専務理事、犬飼基昭はサポーターに失礼だと、川崎の姿勢に激怒。物議を醸したことがあった。しかし、この犬飼サン的な価値観は、さすがに現代の日本のサッカー界にあっては少数派だ。鬼木達監督率いる川崎的価値観の方が多数派を形成している。合理的。効率的。現実的。もっと言えばサッカー的だ。

 鬼木監督のメンバー交代枠を使い切ろうとする姿勢は、その象徴と言える。コロナ禍に対応した3人から5人に拡大されたメンバー交代枠が、Jリーグに導入されたのは、昨季の2節以降になるので、各チームは昨季、この方式で計33試合戦ったことになる。

 川崎の鬼木監督は、そこで5人の交代枠をフルに使い切る采配を30試合披露している。33分の30という数字(交代選手の1試合平均使用率に換算すれば4.91人)は、もちろん断トツ1位の数字になるが、これはできるだけ多くの選手を使いながら、それでいて優勝を飾ったと言う話になる。勝利を追求しながら、選手層を厚くしたこと。それが、今季の優勝の原動力になったと考えられる。